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斬奸状は馬車に乗って: 時代短篇選集 2 (小学館文庫 や 4-6 時代短篇選集 2)

斬奸状は馬車に乗って: 時代短篇選集 2 (小学館文庫 や 4-6 時代短篇選集 2)

斬奸状は馬車に乗って: 時代短篇選集 2 (小学館文庫 や 4-6 時代短篇選集 2)

作家
山田風太郎
出版社
小学館
発売日
2013-03-06
ISBN
9784094088045
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斬奸状は馬車に乗って: 時代短篇選集 2 (小学館文庫 や 4-6 時代短篇選集 2) / 感想・レビュー

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Sam

編者日下三蔵が言うところの「プレ明治もの」(忍法帖シリーズから明治ものへの移行期に書かれた作品群)を集めた短編集の第2巻で、7つの逸品からなる。時代も幕末から明治まで、登場人物も著名人から市井の人までと様々だが、己の信ずるところに従い懸命に生きたにもかかわらず最後には悲劇的な運命に陥る人々を描いている。どの作品も著者ならではの物語構成の妙、透徹した眼差しが印象的だが、どこかそれを肯定的に見守っているような心持ちも感じられる。表題作と「笊ノ目万兵衛門外へ」が特によかったかな。

2023/11/24

ヨーイチ

これも、半分は既読。「陰萎大将軍」って、まあ何と言うか、筒井康隆ではないか(笑)。中身も他の奴とチョット違う。確かに家斉、家慶、家定と続く三代中祖父、父が異常に子供が多いのに、この人だけ、実子無し。(ウィキペディアで確認)この事実が作者の構想の発端だったのでは無いか。そして慶喜嫌いの理由もその父の多産に置く。この告白には思わず唸り、感嘆。これぞ小説の醍醐味。本当はどうだった?なんて実はどうでも良いのだ。最後の「暗黒星」も星享の暗殺者が剣客伊庭家の跡取りだったと云う史実から構想されたに違いない。続く

2013/08/11

タツ フカガワ

幕末から明治への騒乱と混沌の時代を舞台に7話を収録。寺社奉行にも信頼された敏腕町奉行同心の不幸の連鎖が痛ましい「笊ノ目万兵衛門外へ」や、物騒な将軍暗殺話ながら、滑稽色も漂う「獣人の獄」、皮肉とユーモアを交えた「切腹禁止令」ほか、どれも面白いが、「陰萎将軍伝」が素晴らしかった。徳川15代将軍のなかで最も評価の低い13代家定の実像に迫るもので、最後の1行が切ない。

2018/11/26

さっと

幕末から明治にかけてが舞台の作品集の2巻目。ひとつめと同じく70年代前半に書かれたもので、もともとの『斬奸状は馬車に乗って』+前巻に収まらなかった日本妖人伝シリーズの2編で構成される。出色は「笊ノ目万兵衛門外へ」。町奉行所同心の万兵衛は弱いものには同情し悪人には徹底的に厳しくあたる庶民からすると理想的な官吏であるが、その忠実な業務のかげで、いくども身内の犠牲が伴ってしまう。これも山風ならではのスッキリしない後味悪いテイストでらしさ全開なわけだが、タイトルにこめられた驚愕のラストでそんなんぜんぶ吹っ飛ぶ。

2020/09/20

木賊

幕末~明治時代を舞台とした短編集。全体としては、個々の信念を傍から見た時の空しさ、悲しさ、滑稽さに溢れている。旧時代に取り残されたような信念、特に他人に与えられた信念で行動した結果が誰にも顧みられない死では、遣り切れない。そんな中、狂人を装う家定の抵抗が悲痛な『陰萎将軍伝』が印象的だった。

2013/08/10

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