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辻政信の真実: 失踪60年--伝説の作戦参謀の謎を追う (小学館新書 ま 13-1)

辻政信の真実: 失踪60年--伝説の作戦参謀の謎を追う (小学館新書 ま 13-1)

辻政信の真実: 失踪60年--伝説の作戦参謀の謎を追う (小学館新書 ま 13-1)

作家
前田啓介
出版社
小学館
発売日
2021-06-03
ISBN
9784098254019
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辻政信の真実: 失踪60年--伝説の作戦参謀の謎を追う (小学館新書 ま 13-1) / 感想・レビュー

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パトラッシュ

優れた作戦を立案し、最前線で指揮を執り、死傷者を収容するため命を賭ける。辻政信が優秀な軍人なのは間違いないが同時に強烈な自信家でもあり、他者を巻き込む説得力の持ち主だった。役に立つ男だと上司も便利使いするうちに独断専行が重なるが、本人は組織のためと信じて疑わず、悪を行っているとは露ほども考えなかった。「戦争とは他の手段をもってする政治の継続」とすれば、戦争は勝てばいいとする日本陸軍の組織的欠陥が、かくも政治を無視した将校の暴走を容認した状況が見えてくる。だから辻は政治家としては何の業績も残せなかったのだ。

2022/12/21

とくけんちょ

絶対悪とまで呼ばれた参謀。兵の命を顧みない悪魔的な作戦を実行し、終戦時潜行して、その後、意気揚々と政治家への転身。最後は失踪。とんでもない人間だ。だが、誰よりも高潔。だから、人は辻政信を無視しておくことができないのだろう。それに、高潔がゆえに面と向かって否定されない。憧れるが、絶対に真似してはいけないことはわかる。決定権を持たせてはダメな人の見本。

2021/08/09

紙狸

2021年刊。著者は1981年生まれの全国紙記者。金沢支局勤務当時の連載記事がベース。現在の加賀温泉市今立区出身の陸軍参謀・辻政信の伝記。この本の特徴は、辻の生い立ち、そして戦後国会議員として活動した時期について、関係者(の家族)の証言、残された文書類を丹念に集めた点だ。参謀としての「活躍」「悪行」についての叙述には疑問が残る。エピソードをニュートラルに並べてよいのか。山本七平は『一下級将校の見た帝国陸軍』で、陸軍のダメな体質を象徴する人物として辻をとりあげている。こうした批判こそが教訓として生きる。

2022/12/18

CTC

6月の小学館新書新刊。著者は読売新聞文化部記者。本書は著者が金沢支局に所属していた19年夏(辻の法的死亡宣告より50年)に同紙石川県版で連載したものを基にしている(ようだ、明言はない)。という事情を汲みつつとしても…まず大読売の文化部記者がこんな見識で仕事できている事を非常に危惧する。本書は一面的であり「本格評伝」は羊頭狗肉である。辻の孫である富士急行社長ら親族への阿りの書かな、といった所感である。しかし改めて人物としての辻に魅力的な面がある事は事実なのだ。だからこその“絶対悪”だって、わかんねえかな。。

2021/06/10

古本虫がさまよう

陸軍幼年学校には補欠合格だったという「神話」があるそうだが、著者は当時の官報を調べて、官報に辻の名前があることを確認もしている。部下(下重龍雄)だった娘(下重暁子)さんも登場。辻が大学生だった彼女のために就職の世話をしようとしたりお金をくれたといった体験を吐露しているのが目にとまった。「女の子を助けてあげようと、目の前に困っているやつがいたら、何もしないではいられない人だったんだと思います」と好意的に語っている。少なくとも彼女にとっては、辻政信という人は「絶対悪」ではなく「絶対善」に近い人だったのだろう。

2021/06/15

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