潜熱 (2) (ビッグコミックス)
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「潜熱 (2) (ビッグコミックス)」のおすすめレビュー
中年ヤクザと女子大生の危険な恋。誰からも祝福されない関係は、不幸へ続く道なのか?
『潜熱』(野田彩子/小学館)
恋は衝突事故のようなものだ、とたとえられることがある。予測不可能で、気がついたら事故のように相手に恋をしている。その感情はまさに制御不可能。それがいけない恋、不幸な未来しか見えていない恋だとしても、誰にも止めることなどできない。
最新作『ダブル』で、第23回文化庁メディア芸術祭「マンガ部門 優秀賞」を受賞したマンガ家・野田彩子さんの『潜熱』(小学館)は、そんな“誰にも止めることのできない恋”を描いた作品だ。
主人公はコンビニでアルバイトをしている大学生の瑠璃。彼女のバイト先には、毎日同じ銘柄のタバコを買いに来る中年男性がいた。彼の名は逆瀬川(のせがわ)。いつも不敵な笑みを浮かべ、時折、他の客に暴力を振るう。黒いスーツを身にまとい、ただならぬ雰囲気を放つ逆瀬川は、ヤクザだった。
ヤクザと接する機会がない者にとっては、彼らの存在は恐怖でしかないだろう。それは瑠璃も同様だ。ところが瑠璃は、ひょんなことから逆瀬川に接近することになる。
それはバイトが終わり、ゲリラ豪雨に立ち往生していたときのこと。コンビニの軒先で逆瀬川に声を…
2020/3/25
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潜熱 (2) (ビッグコミックス) / 感想・レビュー
yoshida
逆瀬川にますます惹かれる瑠璃。惹かれることの理由は分からないが、焼かれるほど危険な恋だということは明確である。逆瀬川の過去を知る女・蒲生田。蒲生田の狂気。その狂気と闇の深さは逆瀬川の危険の深さを表している。瑠璃の行動を見ていると、瑠璃はもはや止まることは出来ないし、待つものが煉獄であれ進んでいくのだろう。なぜ瑠璃はそこまで逆瀬川に惹かれるのか。ヤクザで過去に起きた出来事を知り、将来に危険しか見えないのだ。理由はどうしようもない。若さ故の盲目さかも知れない。内容と画が絶妙に合い読ませる。次巻の発売が楽しみ。
2018/05/26
ぐうぐう
歳の離れたヤクザを愛する女子大生。『潜熱』がユニークなのは、主人公の瑠璃が恋するのに、男のヤクザというプロフィールがなんら意味を持たないことだ。男のアウトローな背景に惚れるのではなく、あくまでそこに理由はない。恋に落ちた男がたまたまヤクザだった、という展開だからこそ、瑠璃は怯まないのだ。正しいも間違っているもない、ただただ恋の熱だけが瑠璃を動かす。
2018/05/24
空のかなた
タイトルの「潜熱」が象徴的な造語。潜った熱。表面からは分からないけれど、確実に大学生の瑠璃の身体の中には、逆瀬川さんへの止められない想いが、どんどん巣くっていく。懲りもせず、地味で幸薄そうな長い黒髪の若い女に牽かれる逆瀬川。どうしようもないおじさんなのに、惹かれていく瑠璃が加速していくこの2刊は、前の刊よりも危うさがあり良かった。そのうえ後半に出てくる、目が死んでいるような蒲生田さんの潜熱も壊れかかっている。渦のようにうねり始めた展開になんとも言えない嫌な感じが残るのが、この漫画の魅力なのかもしれない。
2018/09/26
はるみかん
息子からの借り本。やはり薄目で読了。
2018/07/22
カラシニコフ
どんどん深みに、ハマっていく…。いや、潜っていく。 ★★★★☆
2018/07/17
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