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東京ヒゴロ (2) (ビッグコミックススペシャル)

東京ヒゴロ (2) (ビッグコミックススペシャル)

東京ヒゴロ (2) (ビッグコミックススペシャル)

作家
松本大洋
出版社
小学館
発売日
2022-09-30
ISBN
9784098614509
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東京ヒゴロ (2) (ビッグコミックススペシャル) / 感想・レビュー

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キジネコ

マンガにしか表現できないモノがあるんやなあ…て静かに思います。命を削る様にして描くマンガが作者自身から遠ざかっていく。足掻き藻掻くほどに大切なものと埋めがたい距離の広がりを止められない焦燥。読者は余白の重さに沈黙し、一話一話最終コマに描かれた街角の風景の何処かに自分自身が居る事に思いを致す。分かれた妻と子を見送った男の背中。欲したモノを手にして戸惑う男。大事なものの優先順位が変わってしまった女の諦観。分水嶺を渡る不安に疲れた若者。それは全てが私達の日常。マンガでしか味わえない世界、きっとそう。余韻が。

2023/06/23

ぐうぐう

『東京ヒゴロ』各エピソードのラストカットは、いつも街の遠景が1ページ1コマで描かれる。建物がひしめき合う風景の中で人の姿は小さく、それは人間のちっぽけさを伝えるためのカットなのかと錯覚してしまう。「こっから見る東京…やっぱ格好エエなァ」と青木は言う。「高校辞めて出てきた東京はホンマ別世界で……なんやむっちゃエネルギーみたいのん感じて…」そんな青木の言葉にラストカットの意図を重ねようとした矢先、そのセリフが出てきたエピソードのラストカットが地下鉄の閉塞感漂うホームなのにドキリとさせられる。(つづく)

2022/10/16

阿部義彦

待ちに待った第二巻発売です。冒頭のテンパイポンチン体操に思わず反応してしまいました。グッドモーニングですよね、オナッターズもいましたね。閑話休題。 ため息ついて時間が止まりました。全7話がそれぞれ違う所を目指す様に拡散して、最後の見開きの一コマで美しく収束する、何とも言えない表現力。 幻視、幻覚をも作品内にさり気なく取り入れて、えも言われぬ異化効果を生み出してます。誰一人同じ考えの人間など居ない事の諦めと希望がふつふつと湧き上がります。塩澤という狭量な人間の過去、幾つもの出会いと別れ。ゴオオオォー

2022/09/30

冬佳彰

昨夜、読了。いやー、良い。こういう漫画を読めるって快楽だなあ。感謝する。塩澤さんの漫画雑誌の計画は進むような進まないような。しかし淡々と生きる。それに並走する形の漫画家たちの現在・過去の苦悩。なんだかこの辺り、松本さん自身の怨念のようなものも含まれているんだろうか?「そんな編集、いなくて良い!」という怒りも感じたり。しかし、業界自体がそういう構造を前提に成立していたら、なかなか難しいのかね。今は別のルートもあるのだろうが、それはそれで成り立っているんだろうか?分からない。

2022/10/04

エル・トポ

良い作品って何だろう?文学賞を受賞していても社会の評価が高くても、個人的にはゴミだと思える作品は確かに存在して。作家が本当に書きたいものを書いていて本人が納得の出来でも世間からは評価されないこともある。売れっ子になってバンザイのはずの青木の苦悩。自分の作品に満足できない長作。漫画しか居場所がないと語る飯田橋。長作タイプって実在したら苦手なはずなんだけど、この作品の中で1番愛情を感じるのが不思議。一巻から通じての、映画を見ているような時間の流れ方が魅力。

2023/06/17

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