KADOKAWA Group

Facebook Twitter LINE はてブ Instagram Pinterest

花のワルツ (新潮文庫 か 1-3)

花のワルツ (新潮文庫 か 1-3)

花のワルツ (新潮文庫 か 1-3)

作家
川端康成
出版社
新潮社
発売日
1951-08-01
ISBN
9784101001036
amazonで購入する Kindle版を購入する

ジャンル

花のワルツ (新潮文庫 か 1-3) / 感想・レビュー

powerd by 読書メーター

(C17H26O4)

深い思いは時として天邪鬼に振る舞うのだろう。流れる涙と共に哀しみは歌となって溢れ出る。それも明るく高らかな声音の。押し寄せる愛は身体の中の何か、そう、感動にも似た情動を呼び起こすのかもしれない。研究室の爆発による全身火傷で死にゆく医学博士と生き残った女性助手の物語『イタリアの歌』に特に心奪われた。「先生」と死者にひと言呼びかけ、遠い外国で二人っきりになったらきっと結婚するだろう、といういつかの会話を思い出した後、なんということはなしに歌い始めた女の姿があまりに美しく。明日の朝は全霊で歌いたいという思いも。

2021/05/01

いたろう

川端康成の命日「康成忌」に再読。表題作の中編「花のワルツ」(昭和11年)の他、「イタリアの歌」(昭和11年)、「日雀」(昭和15年)、「朝雲」(昭和16年)の短編3編を収録。この新潮文庫版は既に絶版。「花のワルツ」は、タイトルで分かる通り、チャイコフスキー(小説中ではチャイコフスキイ)のバレエ曲から。バレエダンサー(踊子)とバレエ団(舞踏研究所)の話。会話が多く小説というより、戯曲を読んでいるかのよう。収録作では、この中編より、女学生が女性教師に恋心を抱く「朝雲」がいい。これが戦時中に書かれた作品だとは。

2020/04/16

emi

どう感想を書いたらいいのか真剣に悩みます。突然火だるまになる男の話、バレエダンサーたちの芸術を追い求める心理と闇の話、自由奔放な夫に悩む妻と鳥の話、年上の女性に恋焦がれる女学生の話…どれも一筋縄ではいかない話なのだけど、特に女たちの心理がはっきり浮かんできます。今ほど開放的じゃない時代の彼女たちには、きっと陰でひっそり涙を流して堪えるのが当然だったのかなと思うんです。そういう女性の仕草というか気配というか、秘めていることを先生は卓越した文章でつまびらかにされて、毎回見抜かれてる気に。畏怖の念を抱きました。

2017/04/24

メタボン

☆☆☆★ 鈴子と星枝の好敵手としてのやりとりに心情の機微を感じ、また南条や師である竹内と二人との関わり合いが何とも繊細な表題作。鳥居博士が火まみれになる描写がすさまじい「イタリアの歌」、女学生の女教師に対する憧れがいじらしい「朝雲」、女好きの松雄を冷静に受け止めている妻が凛としており、そして孤高に囀る名鳥が暗示的な「日雀(ひがら)」。どれも一筋縄ではいかぬ佳品だと思う。

2016/04/28

kei

1994年放送「文學ト云フ事」という深夜番組で紹介されていた『朝雲』に心惹かれて購入、以後何度も再読しています。やっと収録されている全作品を読みました。表題作を含めて4作品が収められています。『イタリアの歌』(1936年1月)研究室の実験で大やけどをした博士とけがをした 女性の助手が病院に運び込まれる。昔の病院の冷や冷やした感じが印象的でした。『花のワルツ』(1936年12月)踊りを習う貧乏な少女とお金持ちの少女。すごく昔の少女漫画のようでした。耽美。『日雀』(1940年7月)あまり印象に残らず…。

2021/02/26

感想・レビューをもっと見る