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女であること (新潮文庫)

女であること (新潮文庫)

女であること (新潮文庫)

作家
川端康成
出版社
新潮社
発売日
1961-04-18
ISBN
9784101001166
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女であること (新潮文庫) / 感想・レビュー

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ヴェネツィア

川端はボーヴォワールの『第2の性』の「女であるということは、実に奇妙な、不純な、複雑ななにかであって、どんな形容をもってしても、それを現わすことは出来ない」という部分を引用している。そして、本書は、まさに「女であること」の川端による小説的解答である。作中で最も変幻自在なのは、さかえであり、彼女の行動が物語のプロットを形成してゆく。もちろん、それは同時に周囲の者たちを翻弄することでもあるのだが。彼女に比べれば市子も妙子も、影が薄くなるのだが、それぞれにやはり「女であること」の別の側面を表出しているのである。

2018/01/08

優希

面白かったです。同性愛を思わせるような3人の女性たち。美しくも残酷さ。様々な行動や心理を通じて女であることの哀しみを感じました。女が女を知ることの怖さや、女ならではの孤独が浮かび上がっています。男性目線で描くからこそ見える女という存在であるが故の生々しさがありますが、だからこそ描き出せだ世界だと思います。

2017/02/03

(C17H26O4)

女。女であること。まさしくそうなのだ。あらゆる感情や思考が女として分かる。素直さも無邪気さもいやらしさも、わたし、知っている。市子の慈愛の心。いっそ身を委ねさらわれたい願望。臆病な妙子の抑えられない気持ち。さかえの自意識の高さや奔放さに潜む哀れさも、わたしの中にある。川端の文は、なめらかできれいな日本酒のようだと思う。鼻腔の奥にふくよかな香りが広がり、するすると喉をつたう。

2019/04/27

Gotoran

主人公の佐山という弁護士夫人の市子と同じ家に暮らす二人の若い女性(大阪の家出娘さかえと罪人の娘妙子)の(男を巡る)行動と心理描写が詳細に描き出されれる。淡々としたストーリー展開の中で、不意に驚かされるような表現があったり、吐く息の白さや女性たちの肌の白さを連想させるような女の妖しさ、哀しさを垣間見ることができる川端独特の表現描写に感服させられた。

2018/10/09

nina

女であることの内側を男性作家の手でこうも微に入り細に入り描かれてしまうと、その手腕の見事さに感服しつつ、グロテスクな陳列物を見ながら実は自分もその陳列物の一つであることに気がついてしまったような、怖いもの見たさとスリル感、そして面映ゆさが入り交じる妙な読後感だった。エキセントリックで自由奔放な美少女さかえと、暗い影を背負った美少女妙子、明るく上品な令夫人市子。この3人の揺れ動く内面が非常に鮮やかに活写されており、人間関係を複雑に絡ませつつ次から次に思いがけない方向へ物語を展開させていく牽引力が素晴らしい。

2015/03/26

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