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眠れる美女 (新潮文庫)

眠れる美女 (新潮文庫)

眠れる美女 (新潮文庫)

作家
川端康成
出版社
新潮社
発売日
1967-11-28
ISBN
9784101001203
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ジャンル

「眠れる美女 (新潮文庫)」のおすすめレビュー

本当はエロい川端康成!「美少女と添い寝できる宿」に足繁く通う老人を描く純文学が、あなたの心の闇を愛撫する

『眠れる美女』(川端康成/新潮社)

 高校生の頃、英語の先生がいわゆる“パイプカット”手術をした。先生は授業中にもかかわらず下ネタをバンバン飛ばす陽気な人で、生徒からとても人気があった。療養から復帰した後の最初の授業で彼は「俺ぁ、もう男じゃなくなっちまったからさぁ……」と僕らに向かってぼやいた。哀愁漂う表情がスーパーマーケットの前で飼い主を待つコッカースパニエル(抜け毛の激しい洋犬)そっくりだったことを覚えている。

 先生の詳しい個人的な事情(健康面、金銭面、あるいは夫婦生活)は知らないが、そこにいた男子生徒たち(あるいは女子生徒)はみなその晩、自らのままならない思春期のソレをいつものように持て余しながら「男じゃなくなるって、どんな気分なんだろう」「男じゃないとしたら、先生は一体なんなんだ」「コレもいつか、うんともすんともいわなくなる日が来るのか」と、思いを巡らせたはずだ。少なくとも、僕はそうだった。

 性欲はマジで厄介な代物だと思う。大概のトラブルは性欲がらみで起きることが多い。ただ「ヤりてぇな」ぐらいに単純な欲望ならまだしも、そこにエゴやコンプレッ…

2017/9/30

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眠れる美女 (新潮文庫) / 感想・レビュー

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ヴェネツィア

表題作は、川端康成61歳の作品。作中の主人公江口老人は67歳だから、来るべき自身の老境を見据えての作だろうか。そんな家が、どこかに確かにありそうな強いリアリティを持って迫る小説だ。ここで追求されているのはエロスの本質なのだが、誰しもすぐに気がつくように、それは死のタナトスと隣り合わせにしか存在し得ないもの。しかも、逆説的なのだが、それは性の不能性とさえも隣接したところにある。また、性の対象の固有性への挑戦と問いかけでもあった。そして川端自身の生への強烈な執着と、これまた逆説的に諦念とが同居する物語だ。

2014/03/23

こーた

読んでいるだけで触れているような感覚に襲われる。眠る若い娘の肌に指を這わせる。感覚は研ぎ澄まされて、あらゆる外側の描写が、読むものの内側をつつく。狭い部屋。暗さと明るさ。遠くに聞こえる水の音。びろうどのかあてん。色。匂い。眠る女の体温。肌の冷たさと暖かさ。匂い。かすかに上下する胸。息づかい。暗く狭い部屋に閉じこめられた閉塞感が、うちに秘めた背徳心をくすぐる。周囲を徹底して描くことで内面が浮かぶ。わっと本を放りだしそうになる。

2019/09/18

風眠

あの三島由紀夫があとがきを書いているという、ものっすごい一冊!天才と天才の共演、みたいな豪華な文庫本。誰がなんと言おうと宝物である。女の人を相手するには、ちょっと年を取りすぎてしまった男性が、眠っている若い女に添い寝する目的で訪れる、とある秘密の場所。もう女の人の相手はできないけれど・・・という往生際の悪さが、人間くさくていいなと思う。若い女に添い寝しながら、かつての恋人や愛人とのあれこれを逡巡する姿が、寂しくもあり愛らしくも感じる。老いという人生の寂しさと儚さを描いた作品。しかし川端康成、エロい。

2013/08/17

だんぼ

二階のいつもの部屋は ストオブであたたまっていた いい煎茶を入れるのも 変わりはなかった

2023/10/27

zero1

ヘンタイの世界へようこそ?これぞデカダンス?江口老人は67歳。裸の娘と添い寝する「眠れる美女」に通う。娘たちは眠ったまま起きない。どう終わらせるかと思ったら、オチがあった。「片腕」「散りぬるを」を収録。解説は三島由紀夫。表題作は傑作であり、ネクロフィリア(死体愛好症)につながると述べている。各国で5回映画化されている。ノーベル賞作家の川端は「みずうみ」で元教師のストーカーを描き、ある意味時代を先取りしている(笑)。川端が単なるヘンタイでない証拠は無駄のない文章にある。これは私のような凡人には真似できない。

2018/12/04

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