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辺境・近境 (新潮文庫)

辺境・近境 (新潮文庫)

辺境・近境 (新潮文庫)

作家
村上春樹
出版社
新潮社
発売日
2000-05-30
ISBN
9784101001487
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辺境・近境 (新潮文庫) / 感想・レビュー

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ミカママ

数年ぶりの再読。この辺だとか『雨天炎天』あたりの、まだまだみずみずしい春樹さまの紀行文が大好きだ。にしても、どうしてわざわざこんな過酷な旅を続けるのか。わたしが一緒にお邪魔したいと思ったのは、香川のうどん巡りくらいだな(笑)モンゴルの狼の話はキツかった。映像としていつまでもわたしの心に残ってしまうだろう。でもそれも現実。何気ない言葉遣いにも春樹さまのセンスが光り、寝落ちを挟んで一気読み。何度読んでも素晴らしい。

2020/09/05

ヴェネツィア

村上春樹の辺境紀行集。瀬戸内海に浮かぶ無人島や、讃岐、神戸など、ちょっと見には辺境に見えないようなところもあるが、いずれも村上にとっての「内なる辺境」である。村上春樹はいわゆる「行動する作家」ではないし、また「漂泊の作家」というわけでもない。しかし、彼の中にはそうした要素が実は強く内在しているのだろう。そして、彼はまた「思索する旅人」でもある。それが顕著に現れているのは「ノモンハンの鉄の墓場」であり、「メキシコ大旅行」のチアパスだろう。何しろ村上は阪急六甲駅前のマクドナルドにいてさえ思索するくらいだから。

2012/07/01

ムッネニーク

91冊目『辺境・近境』(村上春樹 著、2000年6月、新潮社)村上春樹による旅行記。全7章のうち3章は日本国内、4章は日本国外について書かれている。からす島という無人島での一夜や、讃岐でのうどん食べ歩きなどの牧歌的なものから、ノモンハンの戦場跡や震災後の神戸といったシリアスなものまで、幅の広い題材を扱っている。やはり強烈なのはノモンハン。この地で起きたことの不条理さは筆舌に尽くし難い。表紙の写真、ちょっとポーズ決めすぎ。「恐怖と、絶望と、混乱と、困惑と、あきらめと、……それから僕にはよくわからない何か。」

2021/11/07

mukimi

少年の心と大人の見識を兼ね備えた村上春樹氏の旅行記。根底の情熱はかなり熱く、重く苦しい歴史へも積極的に踏み込む縦横無尽の全力旅行記なのに、達観した視点と素晴らしい文章により粛々とした仕上がりで読んでいて心が落ち着いた。「記憶の集積は僕の重要な資産」ってとても深い。後悔も卑屈も孤独も恐怖も、筆者の手にかかれば世界を覗くための窓みたいだ。なんだか勇気が出る言葉だ。そして、「旅先の空港に到着しリュックを背負った時の『うん、これだ』という自由の感覚。自分という役割からの自由。」こんなに旅に出たくなる文章ってない。

2023/05/12

Kajitt22

国内外の数編の紀行文集。読んでいると、数十年前ある本屋の紀行文の棚を月に1.2回巡回していたのを思い出した。確かその頃著者の「東京奇譚集」を読んだかもしれない。神戸の街を歩きながら、ヘミングウエイの「日はまた昇る」を読み再認識するのが興味深い。最後のあとがきともいえる、紀行文の書き方のような文章が村上春樹らしいと思う。

2019/08/06

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