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古都 (新潮文庫)

古都 (新潮文庫)

古都 (新潮文庫)

作家
川端康成
出版社
新潮社
発売日
2022-04-25
ISBN
9784101002439
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古都 (新潮文庫) / 感想・レビュー

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夜長月🌙@5/19文学フリマQ38

存分に京都を感じられる作品です。京都好きの方にはたまらないでしょう。京都の情景と京都弁が彼の地へいざないます。以前、東山魁夷展に行った時に一連の京都を描いた作品の解説に「川端康成さんに京都は今描いていただかないとなくなります。京都のあるうちに描いておいて下さい。」と言われたとありました。芸術としての文学と絵画がこうして交流するのはすばらしいことです。(単行本の口絵は東山魁夷さんによるものです)

2023/05/15

Shun

京都を舞台に二人の女性の運命が交錯し、古都の季節感漂う景色と描かれます。歴史ある都の色彩や食べ物の香りが読み手の五感に作用してきそうな小説でした。物語は京都の呉服問屋の娘・千重子から始まり、彼女の視線は庭にある古木の窪みからひっそりと咲いた2株のすみれに向いている。離れた位置にあるこの花は近くなることはないが、それでも毎年しっかりと花開く。千重子はこの花を見ると何かを思わずにいれない様子で、それがこの物語の印象的な隠喩となっている。そして祇園際の夜、己と瓜二つの女性と千重子は運命的な出会いをするのだった。

2022/07/11

さばずし2487398

昭和37年刊行。今とは恐らく比べ物にならぬ、風情の高い京の暮らしと風物がページの上から立ち上って来る。正にはんなり。主人公の両親の深い愛情、帯の絵柄に込められた想い、2人の娘の心の交流とそれらを彩る景色の描写。本作はノーベル賞対象として選ばれ、流石は三島と争った作品だと思った。後半は恋愛ネタでひっくり返る展開も用意されていて意外。今では洛中でも聞くのが難しそうな京都弁も耳(目)から離れない。この様な作品を読むと、最近の小説でも脚本でも、台詞というか、人の心をダイレクトに書き過ぎている様に感じてしまう。

2023/12/04

まさ

主人公の人生、心の揺れ動きがなんとも美しく感じた。川端康成の紡ぐ文章の素晴らしさだろう。それは京都の四季折々の情景にも。舞台となるいくつか、中京の街並みや高雄、北山(特に植物園!)の風情、宵山の喧騒と不思議な静けさ、などなど。当時の康成の状態を知ると衝撃を受けるが、素敵な1冊でした。

2023/04/27

KIMI

物語の季節と読む季節が合うと気持ちいい🌸第一章「春の花」もみじの木のくぼみに別々に咲くすみれの花…双子の姉妹の物語…なんて美しい暗喩なんだろう、春に呼ばれるように読み始める。祇園祭の夜、八坂神社と御旅所を行ったり来たり、願掛けをするふたり、別々に育った双子の姉妹がすれ違う瞬間はとても綺麗な出会いの場面だった。四季の花、伝統の祭、街並み、着物や帯、身分違いに育った姉妹の選んだ道も、最後まですべて清々しく美しかった。これこれこれです、川端はんに求めていたものは!よかった、やっと出逢えた😊

2024/04/15

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