読みたい本がここにある

Facebook Twitter LINE はてブ Instagram Pinterest

春琴抄 (新潮文庫)

春琴抄 (新潮文庫)

春琴抄 (新潮文庫)

作家
谷崎潤一郎
出版社
新潮社
発売日
1951-02-02
ISBN
9784101005041
amazonで購入する Kindle版を購入する

「春琴抄 (新潮文庫)」の関連記事

サド・マゾ・フェチ・レズ…。大人になった今だからこそ読みたい谷崎潤一郎名作5選

 明治から昭和にかけて、日本の文壇は大きく花開いた。その中で「性愛」というジャンルをしっかりと埋めた文豪こそが谷崎潤一郎だろう。一般に耽美主義(※)に分類される谷崎の作品には、数多くの「癖のある」女性が登場する。現在とは比べ物にならないほど女性に対する性的な縛りや固定観念が強く、貞操が重要視された時代に、フェティシズム、レズビアン、サディズム、マゾヒズムなどを切り口に、性に自由に生きる魅惑的でラディカルな「新しい女性」を書き続けた。

(※)たんびしゅぎ:思想・道徳的規範よりも美の享受・形成に最高の価値を置く立場。生活を芸術化して官能の享楽を求める。

 谷崎潤一郎は間違いなく「文豪」の括りに入る大作家であるが、一般的に小中高の国語の授業では馴染みのない人物でもある。それは、「性愛」や「性的嗜好・倒錯」が大きなテーマとして扱われるため、教育の材料として扱いにくいためだといわれている。

 そういった観点からも、“大人になった今こそ読みたい文豪”としては、谷崎潤一郎は間違いなく第1位だと筆者は感じる。谷崎文学から得られる見地は「性」から「生」まで、「きれいごと…

2018/7/22

全文を読む

【1分間名作あらすじ】谷崎潤一郎『春琴抄』——SMのような、深く結ばれた師弟の愛

『春琴抄 (新潮文庫)』(谷崎潤一郎/新潮社)

 容姿端麗な春琴には舞の才能があったが、彼女は9歳の頃に病気で失明し、三味線を学ぶようになった。彼女は三味線の才能も持っていた。春琴に仕え、世話係をしていた佐助も三味線を学ぶようになり、彼女の弟子となる。春琴は気性が荒く、稽古は激しい。撥(ばち)が飛び、叱声が響き、佐助は泣き出す。しかしそんなサディスティックな師匠の人格否定のレッスンを、佐助は待ち遠しく感じるようになる。

 そんな日々の中、春琴が妊娠していることが発覚する。皆がふたりの関係を怪しんだが、春琴と佐助は関係を否定し、結婚もしない。結局、春琴は佐助そっくりの子供を出産し、里子に出してしまう。

 春琴が三味線奏者として独立した後もかわらず佐助が同行し、わがままな春琴の身の回りの世話をした。春琴の三味線の才能は世間に広く知られるようになる。そんな春琴のもとに、利太郎という名家の息子が弟子入りしてくる。利太郎は春琴の美貌が目当てで弟子入りしたため、彼女を梅見に誘って口説こうとする。しかし春琴は利太郎に厳しく当たり、稽古の仕置きでケガをさせる。

 …

2018/7/9

全文を読む

関連記事をもっと見る

春琴抄 (新潮文庫) / 感想・レビュー

powerd by 読書メーター

ヴェネツィア

独特の擬古文の文体で語られ、それが全編にわたって古雅な趣きを与えている。これを読むと、小説の本質は、プロットにはなく「語り」にこそあることがよくわかる。また、春琴と琴台の弦の響きに加えて、鶯や雲雀がモチーフとして用いられ、音の世界を背景としていることも、雅で繊細な感覚を付与しているだろう。人物像の造形も巧みだ。その究極は佐助にあるだろうが、春琴の表現にも一部の隙もない。谷崎の数ある小説群の中でも、究極のマゾヒズムの悦びと美への讃美を描いた点ではやはり屈指の1篇だろう。小説世界に浸りきれる作品だ。

2012/11/23

yoshida

没落した豪商、鵙屋家の墓の列に並ぶ、鵙屋琴こと春琴、そして門人の温井佐助の墓。鵙屋家の娘である琴は天性の美貌と舞、音曲、学問の才がある。彼女は幼くして失明。音曲を極め、三味線師匠春琴となる。鵙屋の奉公人の佐助は琴の信を得、幼い頃から身の回りの世話をする。春琴は更に美しく、そして驕慢に成長した。春琴と佐助は子を成すが認めず。両親の薦めもあり二人は居を構える。春琴は弟子をとるが、稽古は過酷で恨みを買う。春琴を事件が襲う。凄絶な師弟愛が佐助にある行動をとらせる。美しい日本語、凄絶な愛情。読み継がれるべき作品。

2016/12/11

ビブリッサ

耽溺。春琴と佐助には、この言葉が相応しい。他を締め出し二人だけの世界に溺れる。繰り返される短刀で切り苛むような言葉と行動、言われるが儘に嬲られ涙し小鳩を抱くように女の足先を温める姿、全て二人にしか分からぬ符牒で、お互いの性欲を大いに刺激し、周囲にはおよそ理解されない倒錯の高み(否、愛の沼)に飛翔して(沈んで)いくのだ。恋愛の主導権は常に佐助にあり、彼の態度と言葉が触媒となり春琴の加虐性は花開く。一人の男によって、艶めかしく仄白き肌冷たくも甘い吐息を放つ女神が誕生する。その様に読者はただ溜息をもらせばいい。

2017/06/21

のっち♬

春琴と佐助の間に師弟、男女、主従の関係が共存するという設定からして独特。実験的かつ流麗な文体の中にリアルかつグロテスクな後半の描写が際立つ。心理描写や分量・情報量が少なめだが、行間にまで甘美で濃密な谷崎の世界が凝縮されている。現実に目を瞑り、生きている相手を夢でのみ見るというのは、ロマンチックでいかにも著者らしい。「佐助は此の世に生まれてから後にも先にも此の沈黙の数分間程楽しい時を生きたことがなかった」嗜虐と被虐の錯綜の末、お互い盲目になることで到達した官能と美的恍惚の極致には何人も入り込む余地はない。

2019/12/27

Gotoran

封建的社会が残る明治時代に美人で盲目の三味線弾き春琴に丁稚の佐助が献身的に仕えた物語。物語体と随筆体を綯交ぜにして簡潔な文章で、屈折した恋愛が格調高く描かれる。句読点や改行が殆どない文章ではあるが、文章の区切りとして数頁毎の空白が、読み辛さを払拭させてくれた。春琴と佐助の愛の在り方、他者を寄せ付けない二人の世界。春琴の執着(サディズム)と佐助の献身(マゾヒズム)。特に、(春琴の美しさを脳裏に留めんが為に)佐助が自ら眼を潰した後のくだりに、大谷崎の耽美主義的官能美の世界を垣間見た。他作品でも・・

2013/11/02

感想・レビューをもっと見る