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細雪(上) (新潮文庫)

細雪(上) (新潮文庫)

細雪(上) (新潮文庫)

作家
谷崎潤一郎
出版社
新潮社
発売日
1955-11-01
ISBN
9784101005126
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サド・マゾ・フェチ・レズ…。大人になった今だからこそ読みたい谷崎潤一郎名作5選

 明治から昭和にかけて、日本の文壇は大きく花開いた。その中で「性愛」というジャンルをしっかりと埋めた文豪こそが谷崎潤一郎だろう。一般に耽美主義(※)に分類される谷崎の作品には、数多くの「癖のある」女性が登場する。現在とは比べ物にならないほど女性に対する性的な縛りや固定観念が強く、貞操が重要視された時代に、フェティシズム、レズビアン、サディズム、マゾヒズムなどを切り口に、性に自由に生きる魅惑的でラディカルな「新しい女性」を書き続けた。

(※)たんびしゅぎ:思想・道徳的規範よりも美の享受・形成に最高の価値を置く立場。生活を芸術化して官能の享楽を求める。

 谷崎潤一郎は間違いなく「文豪」の括りに入る大作家であるが、一般的に小中高の国語の授業では馴染みのない人物でもある。それは、「性愛」や「性的嗜好・倒錯」が大きなテーマとして扱われるため、教育の材料として扱いにくいためだといわれている。

 そういった観点からも、“大人になった今こそ読みたい文豪”としては、谷崎潤一郎は間違いなく第1位だと筆者は感じる。谷崎文学から得られる見地は「性」から「生」まで、「きれいごと…

2018/7/22

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細雪(上) (新潮文庫) / 感想・レビュー

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ヴェネツィア

上巻は「滅びの美学」序章といったところ。蒔岡家は、物語が始まった時点で既に老舗を失い、本家の当主は銀行務め、分家の三姉妹は蘆屋暮らしだが、戦争の影は、まだ彼らには及んではいない。緩やかな川の流れがたゆたうような文体。今はもはや失われた船場言葉のリズムで語られる稀有な小説。東京生まれの谷崎の言語感覚は、さすがに天才的だ。また、随所に用いられる極微のといっていいくらいにリージョナルな地名が実に効果的。その微細な差異こそが、小説世界を構成する。近世期の黄表紙の「うがち」にも似た読み方を要請されているかのようだ。

2014/03/26

yoshida

以前から読んでみたかった作品。昭和十年代の関西の様子が綺麗な日本語で描かれています。大阪船場の蒔岡家はやや没落したとはいえ、関西の上流階級である。蒔岡家の四人姉妹である鶴子、幸子、雪子、妙子の織り成す日々が美しい。雪子は姉妹のうちで一番の美人だが、なかなか縁談が纏まらない。見合い相手もなかなか釣り合わない。昭和十年代の神戸の生活。支那事変やドイツのオーストリア併合の描写が世相を感じる。戦前は特に暗い時代ではなく、相応に豊かでゆったりとした時間が流れていたことが新鮮だった。優しい船場の言葉にほっとする作品。

2016/09/23

ゴンゾウ@新潮部

美しく洗練された文章にとても驚嘆した。上品で生き生きとした船場言葉で大阪の上流階級の姉妹の生活が目に浮かんでくるようだった。三女雪子の縁談を中心に当時の家族の様子を詳細に描かれている。こんなに美しくて読みやすい小説には滅多に出会うことができない。

2015/01/01

黒瀬 木綿希(ゆうき)

『あたしかて見合いするのんは嫌やないねん』 昭和初期の大阪の旧家を舞台に、四姉妹の悲喜こもごもな日常を描いた長編。言わずと知れた谷崎潤一郎の代表作。上二人の鶴子・幸子姉妹は、彼女らとは対照的に縁談の決まらない三女雪子と自由奔放であどけなさが抜け切らない四女妙子の行く末を心配している。元々名の知れた旧家であったため、登場人物に堅い印象を持っていたのだが、なんとも仲睦まじく、互いが互いを思い合っている良い姉妹でした。纏まらない雪子の縁談や体の弱い幸子さんが無理をする度にハラハラしてしまいます。結末は如何に――

2019/11/19

mukimi

関西弁で話す良家の4人姉妹、谷崎潤一郎の名文。贅沢が過ぎる。時代は祖母が赤ちゃんやったころやけど、わたしも関西の女やから、この姉妹になんとも言えん親近感感じる。姉妹でお着付けしはるところやら、京都の定番お花見コース、暖炉の前で白葡萄酒とチーズをおともに皆でおしゃべりしはるところ、たちまち頭の中に風景が浮かんで、自分も当時の娘さんになってもうたみたいな夢見心地に浸った。まだ中と下も残ってる思たらわくわくしてまう。三女のお見合いみたいに、焦らずゆっくりと読み進めよう。

2023/01/27

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