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三四郎 (新潮文庫)

三四郎 (新潮文庫)

三四郎 (新潮文庫)

作家
夏目漱石
出版社
新潮社
発売日
1948-10-27
ISBN
9784101010045
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日本人なら読んでおかなきゃヤバい! 夏目漱石おすすめ作品まとめ

 日本近代文学の巨峰として、今なお高い人気を誇る夏目漱石。日本人の私たちが文学の世界に浸るためには、彼が外せないことは言うまでもない。高校生の頃、教科書に抜粋された『こころ』の一部を読んだという方も多いことだろう。その一部にとどまらず全文を読んでみると、より一層作品の世界を楽しめる。

 近代文学にお堅い印象を持つ方も、漱石を読んでいくうちにその印象は少しずつ変わってくることだろう。漱石の作品は鋭い風刺やユーモアに溢れ、また彼自身の人となりもふんだんに滲み出ている。学生時代に頭を抱えながら読んだという人も、大人になった今になって読み返してみると、新たな発見に心躍らされること間違いなしだ。本稿ではそんな夏目漱石の不朽の名作を5選、ご紹介したい。

■人に裏切られることの地獄。人を裏切ることの地獄。―『こころ』

『こころ』(夏目漱石/新潮文庫)

 人間のエゴは、時として親友をも裏切り、また自身も裏切られる。主人公の少年が「先生」と彼の亡き友「K」の過去を知るというストーリーで、死に至る人間の心の過程を主題とした不朽の名作。

あらすじはこちら

■猫目線の風刺とユー…

2018/9/16

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三四郎 (新潮文庫) / 感想・レビュー

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ヴェネツィア

明治40年の東京、あるいはその頃に地方から上京して東京帝国大学に入学した三四郎のような境遇の青年たちの気概はよく伝わってくる。ただ、主人公の三四郎にしても美禰子にしても、近代的な自我の萌芽はあるものの、結局は自分自身がどうしていいのかはわからない。そのことは美禰子が三四郎に語る「ストレイ・シープ」に象徴されている。美禰子は三四郎に想いを寄せていたのだろうが、それもまた彼女自身にも確信できないままだったに違いない。「青春を信じない」漱石の青春小説に明確な指針や解答はないし、だからこそ続編が必要だったのだ。

2012/10/07

夜間飛行

昔を思い出す青春小説だがそれだけではない。三四郎は相宿になった女から別れ際に「余つ程度胸のない方ですね」といわれ狼狽える。これは素のままで自由に振る舞えない人間の困惑だ。やがて彼の前に美禰子が現れる。何度も空を見あげる美禰子を介して三四郎は人間の謎に向き合う。美禰子は自分を愚弄しているのか、気があるのか。本郷の通りを二人で歩く時、三四郎は美禰子の兄の許可を得ていないことを気にする。通行人の視線が刺さる。そんな時代なのだ。皆何かに囚われている。それでもやはり青春の美しい話を読むと、無条件で涙が出そうになる。

2023/12/29

まさにい

漱石が小説を書き始めたのが、38歳。三四郎を書いたのが、41歳。明治41年であった。東京はまだ、西洋文明・文化の配電盤(司馬遼太郎氏の表現)、東京大学はまさに配電盤そのもにだったのだろう。帝大生の三四郎の話は、文学論、美術論、科学論、東京の学生の実態として、この小説により全国に知られたのかもしれず、この小説が配電盤の内容として、理解されることは漱石も意識していたものだと思われる。同時代に自分が地方でこの小説を高等学校の学生として読んだらどのように思ったのだろう。はたして、東京にあこがれを持ったのか…。

2016/09/16

こーた

池の向こうから、ひとりの女性がやってくる。手指の動きはアニメーションのようにしなやかで、クローズアップしたかと思えば、流れるようにまた全体を映す。絵巻のように部分と全体を同時に描き、ヒッチコック映画のように周縁はぼやけて、彼女の輪郭があわく浮かび上がる。顕われたヒロインの存在が網膜に定着する。捕らえようとする刹那から、たちまち逃げていってしまう、その何となくの「感じ」までもふくめて、描く。残像を追いかけていたはずが、いつしか囚われていたのはこちらのほうで、気づけば読むわたしも美禰子のとりこになっている。⇒

2019/12/12

Major

僕個人としては、美穪子という女性は『三四郎』の文中でも書かれている通り(三四郎の見解)第三の世界に住まう住人でありながらも、美穪子自身はこの3つの世界にまたがって住まうと考えているのだと僕は思う。ということは、漱石がそのように考えて造形した女性だということも言えよう。そこに、そこはかとない頼りなさげな(=憐れな)第二の美しさ(第一の美しさは、言わずもがなのあの凛とした『草枕』の那美にも見られた近代的知的女性の美しさ)を僕は観る。(コメントへ続く)

2015/01/03

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