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河童・或阿呆の一生 (新潮文庫)

河童・或阿呆の一生 (新潮文庫)

河童・或阿呆の一生 (新潮文庫)

作家
芥川龍之介
出版社
新潮社
発売日
1968-12-15
ISBN
9784101025063
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河童・或阿呆の一生 (新潮文庫) / 感想・レビュー

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ヴェルナーの日記

芥川の後期に位置づけられる作品6篇によって編まれている。この頃の彼の作風は初期の『地獄変』や『羅生門『芋粥』といった提喩や換喩などを駆使して、一瞬の風景を切り取ったような鋭い描写力を際立たせた作風と違い、歴史上の人物をモデルに自身の心象を吐露する私小説といった感じを抱かせる作風に変わってきている。初期の頃の作風に限界を感じて、試行錯誤しつつ、悩みながら作風を変えていかざるを得なかった芥川の苦しみが作品に滲み出ている。この後、自殺してしまう彼だが、その先どの様に作風が変容していったのか観てみたかったと思う。

2016/06/10

学生時代以来に読む芥川先生。読んだことのない晩年の作品でしたがこれが哲学的で難しい!ご本人もかなり世界の哲学者の本をたくさん読まれたんだとわかりました。河童は、芥川先生っぽいなじみのある文章で書かれていましたがそのほかの作品は難しかったです。

2013/12/05

chimako

たった240ページにてこずった。河童忌と言われる芥川の命日が 昭和2年7月25日。「河童」は2月11日に、「歯車」は4月7日に書き上げられている。自らの死がすぐそこに有ることを肌で感じとり、一直線に向かう様子が素人目にも見えるようだった。天才の書いたものはどうにも飲み込むことが難しく内蔵が消化を拒否。何とかそのままを身の内に納めたが、毒にも薬にもならず読んだ事実だけが残った。(これを読んだと言えるのか甚だあやしいが) 解説も手強く、益々あやしい。好みで言えば「河童」丸襟白シャツの写真の芥川も好みである。

2017/05/01

カブトムシ

私は、橋爪功さんの「河童」の朗読が好きで、何度も聴いています。「ある阿呆の一生」も橋爪さんの朗読があります。歳をとると、相撲もあっという間に、勝敗が決まって面白い。朗読テープも、耳から入っていいです。「河童」も不思議な小説で、理屈なしに面白いです。芥川龍之介は、いつ頃だったか忘れましたが、槍ヶ岳に登山しました。確か上高地の河童橋はその当時にすでにありました。「河童」のお話は、その河童橋の近くの穴から中に入り込むのではなかったのか?河童の世界がとても面白く描かれています。因みに志賀直哉も焼岳に登っています。

クプクプ

「大導寺信輔の半生」未完で終わりましたが、芥川龍之介らしい美しい文章で、他人に文学を読んでほしいという高い要求をしてしまっている点が私にも似ている、と思い楽しめました。「河童」解説を読むと、芥川龍之介は人間の世界で起こり得る、重要なことを河童に当てはめて、この作品を作ったそうです。風変わりな味付けをした料理のような作品で読後はよかったです。「歯車」夏目漱石が出てきたり、芥川龍之介が過去に書いた作品を振り返ったりして、不安でもあり楽しくもありました。芥川作品を読む順番としては「歯車」が最後で大正解でした。

2023/12/19

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