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潮騒 (新潮文庫)

潮騒 (新潮文庫)

潮騒 (新潮文庫)

作家
三島由紀夫
出版社
新潮社
発売日
2005-10-01
ISBN
9784101050072
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「潮騒 (新潮文庫)」のおすすめレビュー

【3分で読んだ気になる】三島由紀夫のおすすめ4作品。ステイホームをいかして名作に挑戦!

 作家、三島由紀夫。作品を読んだことがない方でも、その最期はご存じではないだろうか? 1970(昭和45)年11月25日、陸上自衛隊市ヶ谷駐屯地にて、バルコニーから自衛隊決起を促す演説をした直後に割腹自決した。享年45。

 今年は、三島の死から50年目の節目にあたる。未読の方も再読だという方も、続くステイホーム期間を利用して、彼の作品を読んでみるのはいかがだろうか? 死に方が強烈な作家だけに「変わった作家」という印象だけで、作品が過去の名作になってしまうのはあまりに惜しい。ここでは、主に未読の人向けに、初心者でもわかった気になれるような読書順で紹介してみたい。(ガチ三島ファンの方にはツッコミ所満載でしょうが、名作を振り返る気持ちで読み進めてください)

『潮騒』 1954(昭和29)年

 まずは、青春恋愛小説として何度も映画化されている『潮騒』はどうだろう。

 長(中)編小説というボリュームがあるので、文章を読むのに苦手意識のある人は、映画で観るのもあり。舞台は、伊勢湾の神島(作品内では歌島)。若く純粋な漁夫と海女の恋愛物語で、2人の純粋さと背景の美しさは…

2020/5/24

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「この指がなまなましく覚えている」味わい深いエロ! 【文豪に学ぶ官能表現講座】

 文学と言われると、なにか崇高でお堅いものをイメージする方もいるかもしれないが、名作とされる文学にはかなり踏み込んだ性描写が実際多く存在する。ふだん我々が、単に「エロいなぁ」「興奮するなぁ」という言葉だけで済ませているようなシチュエーションや心理状態も、文豪の手にかかれば一層輝くのだ。「そんな言葉で例えるの!?」「こんなに細かく説明するの!?」「自分では言葉にできなかったけど、これを読んだら自分があの時どうして興奮していたのかが分かる気がする!」などと感じさせられる文豪たちの官能的な文章を5点ご紹介したい。

■湯上り姿は15~20分後が旬! ——谷崎潤一郎『痴人の愛』

『痴人の愛 (新潮文庫)』(谷崎潤一郎/新潮社)

 やはり文学に潜むエロと言えば、この人は欠かせない。谷崎潤一郎は性をテーマに描いた名作を多く生み出しているため学校で習うことは少ないが、そのクオリティは凄まじい。代表作『痴人の愛』は、真面目な男がいずれ自分の妻にするために15歳の少女を育てるが、次第に少女の魔性にとりつかれ下僕になっていく様子を描く物語だ。

一体女の「湯上り姿」と云うもの…

2018/6/17

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三島由紀夫『潮騒』あらすじ紹介。大きな壁を乗り越えて結ばれる純愛小説

『潮騒 (新潮文庫)』(三島由紀夫/新潮社)

 伊勢湾に浮かぶ、歌島という世間から隔絶されたような小さな島。父親を戦争で亡くした18歳の青年、新治は漁師をしながら、貧しい家で母と弟と暮らしていた。ある日彼は、砂浜で見慣れない少女初江に出会う。

 初江は村の有力者の娘であり、養女に出された後に島に戻ってきたばかり。恋を知らない新治は、初江の名前を聞くだけで鼓動が激しくなる自分の感情の正体が理解できずにいた。

 その後何度か顔を合わせた新治と初江は、次第に互いの惹かれ合う気持ちの正体に気づき始める。そして嵐の日、廃屋の中でふたりは裸で抱き合い接吻を交わす。しかし初江は「今はいかん。私、あんたの嫁さんになることに決めたもの」と誓い、新治も道徳的に考え、ふたりはそれ以上の行為を行うことを抑えた。

 新治のことを好いていた千代子が危機を感じ、初江の婿候補とされていた安夫に「ふたりは一線を越えた」と吹き込む。そして悪い噂は島中に広まり、初江は父親によって新治と会うことを禁止される。それでもふたりは恋を諦められない。

 初江の父親は婿を試すために、新治と安夫を甲板…

2018/5/30

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潮騒 (新潮文庫) / 感想・レビュー

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ヴェネツィア

再読。三島の作品群の中では異彩をはなっている。まず、物語の舞台に伊勢湾に浮かぶ歌島が選ばれているが、都市の文学である三島からすれば、異例のこと。次いでは、三島独特の修辞が、ここにはほとんど見られないこと。他の作品では、登場人物たちの微細な心理の綾が華麗な喩法をともなって描かれていくのだが、ここにはそれがない。ここにあるのは、きわめて単純明快な心理であり、行動である。特に主人公の新治において、それが顕著だ。三島の好きな「アポロン的」な男性像である。最後の1文だけが、かすかに三島らしいシニシズムを帯びている。

2012/07/23

読み進めるうちに新治がとても魅力的で素敵でした。寡黙なところ、仕事熱心なところ、今の若者にはあまり見られない(?)良い男です。終始、二人はロミオとジュリエットのようになってしまうのではないか?頼むからその結末はやめてくれと願いながら進めました。最後は良かったです^^しかし、ページ数が少ないのに読むのに時間がかかりました。というかあまりに文体が綺麗なので、一字一句噛み締めないと勿体無い気がしたから?でしょうか。三島先生は本当に日本語の美しさが際立ちます。

2013/12/01

青乃108号

一昔前の百恵.友和の映画は観てはいないが当時あまりに有名であって、その為本作を手にするのにある種の気恥ずかしさを感じたのは俺だけだろうか。しかし生きてるうちには読んでおきたい。読んでみた。意外な程に平易な言葉で綴られた物語は読みやすく、主役たる新治も無垢な若者で感情移入しやすい。初江の純潔、海女の女たちの人間らしさ、どれをとっても好ましく思える。物語も落ち着くべきところに完璧に着地し、読後は非常に爽やかである。

2021/07/27

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島民・漁民の素朴な生活・風習、若いふたりの純朴な恋心・若さゆえの不安・未来への希望。それらを三島流に文学的分析・表現し、見事に超一流の小説に仕上げている。すごい作品。「ダフニスとクロエ」を下敷きにしているらしいです。舞台である三重県鳥羽湾の神島には、いつか旅してみたいです。

2021/02/14

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