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豊饒の海 第三巻 暁の寺 (あかつきのてら) (新潮文庫)

豊饒の海 第三巻 暁の寺 (あかつきのてら) (新潮文庫)

豊饒の海 第三巻 暁の寺 (あかつきのてら) (新潮文庫)

作家
三島由紀夫
出版社
新潮社
発売日
1977-11-01
ISBN
9784101050232
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「豊饒の海 第三巻 暁の寺 (あかつきのてら) (新潮文庫)」のおすすめレビュー

【3分で読んだ気になる】三島由紀夫のおすすめ4作品。ステイホームをいかして名作に挑戦!

 作家、三島由紀夫。作品を読んだことがない方でも、その最期はご存じではないだろうか? 1970(昭和45)年11月25日、陸上自衛隊市ヶ谷駐屯地にて、バルコニーから自衛隊決起を促す演説をした直後に割腹自決した。享年45。

 今年は、三島の死から50年目の節目にあたる。未読の方も再読だという方も、続くステイホーム期間を利用して、彼の作品を読んでみるのはいかがだろうか? 死に方が強烈な作家だけに「変わった作家」という印象だけで、作品が過去の名作になってしまうのはあまりに惜しい。ここでは、主に未読の人向けに、初心者でもわかった気になれるような読書順で紹介してみたい。(ガチ三島ファンの方にはツッコミ所満載でしょうが、名作を振り返る気持ちで読み進めてください)

『潮騒』 1954(昭和29)年

 まずは、青春恋愛小説として何度も映画化されている『潮騒』はどうだろう。

 長(中)編小説というボリュームがあるので、文章を読むのに苦手意識のある人は、映画で観るのもあり。舞台は、伊勢湾の神島(作品内では歌島)。若く純粋な漁夫と海女の恋愛物語で、2人の純粋さと背景の美しさは…

2020/5/24

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三島由紀夫とは何者だったのか。絶対に外せない三島作品【5選】

 三島由紀夫に対して、かたい、難解、右翼思想…などといった印象を強く持ってしまい、なかなか手をつけられないでいる人も多いと聞く。確かにその文体はかたく、これでもかと煮詰められた思想が随所にちりばめられており、はじめのうちは読むのに苦労するかもしれない。

 筆者はそんな皆様に、「肩の力を抜いて読む」ことをおすすめしたい。そうすると、三島由紀夫という人間が身近な存在に、そしていつしか、心の拠り所のように感じられることだろう。しかしやはり、どれほど読み慣れたといっても、その文章が精緻な宝石の流れる川のように美しいことにはひたすら圧倒されるばかりである。

 本稿では三島由紀夫の名作の中から、読みやすいもの、外せないもの5作をご紹介したい。

■美しい言葉で紡ぐ、若い男女の恋愛物語――『潮騒』

『潮騒(新潮文庫)』(三島由紀夫/新潮社)

『潮騒』は、離島で漁師をする青年と、海女の少女の恋愛をロマンティックかつ繊細に描いた物語。若い2人のピュアな恋心、そしてそれを描写する三島の文章に魅了される読者が多い。

 また、かつて人気を博した朝の連続テレビ小説「あまちゃん」(NHK…

2019/2/3

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三島由紀夫『暁の寺 豊饒の海(三)』あらすじ紹介。58歳が官能的な18歳の美少女に抱いた恋心

『豊饒の海 第三巻 暁の寺 (新潮文庫)』(三島由紀夫/新潮社)

『豊饒の海』は三島由紀夫生涯最後の長編大作。「春の雪」「奔馬」「暁の寺」「天人五衰」の全4巻で構成される、輪廻転生をテーマにした物語。禁断の恋、右翼思想、官能的美女、悪魔的少年を魂が巡る。本作の完結直後に三島は、陸上自衛隊市ヶ谷駐屯地に乗り込み割腹自殺。日本史に残る「三島事件」を起こした。

・「暁の寺」あらすじ

 47歳になった本多がバンコクで仕事をしていたところ、ジン・ジャンという7歳の王女と出会う。彼女は「自分は日本人の生まれ変わりで、本多のことも覚えている」という。彼女の前世の記憶は正確だったが、清顕(1巻の主人公)、その生まれ変わりと信じていた勲(2巻主人公)の脇腹には3つのほくろがあったが、ジン・ジャンにはなかった。その後本多はインドを旅行し、仏教の輪廻転生や唯識の思想に触発され、戦争中は仏教の研究に明け暮れた。

 日本は終戦を迎え、本多は58歳となった。裕福になった彼は御殿場に別荘を建て、久松慶子という隣人や、かつて勲の恋人であった歌人の鬼頭槙子、その弟子、ドイツ文学者など…

2018/12/13

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豊饒の海 第三巻 暁の寺 (あかつきのてら) (新潮文庫) / 感想・レビュー

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ヴェネツィア

『豊饒の海』4部作の第3巻なのだが、壮麗なエンディングは、あたかも完結編ででもあるかのようだ。これまでは「記録者」の位置に徹してきた本多がこの巻の主人公だが、その立ち位置は基本的には同じだ。『春の雪』では清顕ともども若かった本多も今や初老の域にさしかかっていて、その造形は『禁色』の檜俊輔を彷彿とさせる。また最後の場面は、『金閣寺』を想起させるなど、三島文学の集大成へと向かっている感が強い。時間的には、戦争末期から戦後にまたがっており、そのスパンの長さも小説にスケール感の大きさとなって反映されているだろう。

2013/07/09

遥かなる想い

本編は「豊饒の海」シリーズの中では、正直猥雑の世界を 描いている。「本多繁邦」という目を通して、最終の「天人五衰」へと 繋げるための 物語なのだろうか。優雅→壮絶→猥雑の世界を書き切っている。

2010/06/12

れみ

お芝居観るための予復習その③戦争の気配が迫るなか、弁護士として名を成した本多が、仕事で訪れたタイで、清顕・勲の生まれ変わりと思われる幼いジン・ジャン姫と出会う第一部と、美しい姫となり日本に留学した彼女と再会する第二部との二部構成。なんとも難解で読み辛い巻だった〜(>_<)それというのも、前二巻では自らの内面を語りながらも傍観者として存在していた本多が物語の主人公になったこと、勲の事件に関わったことで清顕の生まれ変わりが本多のなかで「事実」となったうえにタイとインドでの体験が上積みされ、輪廻転生の世界に →

2018/11/25

ナマアタタカイカタタタキキ

表題の割に、強く印象に残ったのはベナレスの光景の方だった。インドでの深遠な体験から、仏教の輪廻転生の世界へとますます傾倒していく本多だが、これらに関連する件は私には少々難解で、一度読んだだけでは充分に咀嚼できなかったように感じる。後半からやや平易になるが、唯識、阿頼耶識に対する正しい理解が完全に成されていないままだと、只々重厚なレトリックに目が眩んだまま過ぎてしまうよう。その中でも、心身共に変容を齎す老いの残酷さと、ジンジャンの(内面があまり明かされないためにより強調された)肉体的な美しさの対比は印象的。

2020/11/10

Kepeta

ほ、本多ァ!...古今東西の教典を参照し哲学的思考の果てに行き着いた先がド変態ロードとは...完全に想定外でした。完全なる観察者=神の視点に達する以上、覗き魔になるしかないというのはわかります。美しいものが「見られていると自覚せずに生の美しさを披露しているのが一番美しい」のもわかります。けどねえ...本多... 本作は「死に損なった人」ばかり出てくるのが印象的。観念的な美にこだわり、世の醜さと老いの無残さを嫌悪した以上、三島先生はああいう散り方をするしかなかったのかもなあ。あと1巻、物語の決着が楽しみ。

2019/07/15

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