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豊饒の海 第四巻 天人五衰 (てんにんごすい) (新潮文庫)

豊饒の海 第四巻 天人五衰 (てんにんごすい) (新潮文庫)

豊饒の海 第四巻 天人五衰 (てんにんごすい) (新潮文庫)

作家
三島由紀夫
出版社
新潮社
発売日
1977-12-02
ISBN
9784101050249
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三島由紀夫とは何者だったのか。絶対に外せない三島作品【5選】

 三島由紀夫に対して、かたい、難解、右翼思想…などといった印象を強く持ってしまい、なかなか手をつけられないでいる人も多いと聞く。確かにその文体はかたく、これでもかと煮詰められた思想が随所にちりばめられており、はじめのうちは読むのに苦労するかもしれない。

 筆者はそんな皆様に、「肩の力を抜いて読む」ことをおすすめしたい。そうすると、三島由紀夫という人間が身近な存在に、そしていつしか、心の拠り所のように感じられることだろう。しかしやはり、どれほど読み慣れたといっても、その文章が精緻な宝石の流れる川のように美しいことにはひたすら圧倒されるばかりである。

 本稿では三島由紀夫の名作の中から、読みやすいもの、外せないもの5作をご紹介したい。

このまとめ記事の目次 ・美しい言葉で紡ぐ、若い男女の恋愛物語――『潮騒』 ・「美」の本質とは何か―『金閣寺』 ・LGBTについて考えたいならこの1冊―『仮面の告白』 ・舞台芸術のために捧げた作品―『鹿鳴館』 ・三島由紀夫が最後に辿り着いた“転生”とは―『豊饒の海』

■美しい言葉で紡ぐ、若い男女の恋愛物語――『潮騒』

『潮騒(新潮…

2019/2/3

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3度にわたる親友の転生に翻弄され続けた男の末路とは――三島由紀夫『天人五衰 豊饒の海(四)』

『豊饒の海 第四巻 天人五衰 (新潮文庫)』(三島由紀夫/新潮社)

『豊饒の海』は三島由紀夫生涯最後の長編大作。「春の雪」「奔馬」「暁の寺」「天人五衰」の全4巻で構成される、輪廻転生をテーマにした物語。禁断の恋、右翼思想、官能的美女、悪魔的少年を魂が巡る。本作の完結直後に三島は、陸上自衛隊市ヶ谷駐屯地に乗り込み割腹自殺。日本史に残る「三島事件」を起こした。

・「天人五衰」あらすじ

 76歳になった本多と久松慶子婦人は、天人伝説の伝わる静岡県の名勝・三保の松原を訪れ、そこで働く16歳の安永透という少年に出会う。彼の脇腹には3つのほくろがあったため、本多は彼が清顕・勲・ジン・ジャン(一~三巻参照)の生まれ変わりだと考え、養子にする。

 本多は透に英才教育を施したが、彼は次第に悪魔的な行動を取るようになってしまう。婚約者を婚約破棄に陥れ、東大に入学してからは養父である本多を虐待するようになった。その心労により本多は覗き見をしてしまい、警察に捕まる。これを機に透は、本多家を乗っ取ろうと動き出す。

 これを見かねた久松慶子は透に対して、本多が彼を養子にした理由で…

2018/12/17

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豊饒の海 第四巻 天人五衰 (てんにんごすい) (新潮文庫) / 感想・レビュー

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ヴェネツィア

『豊饒の海』全4巻の完結であると同時に三島の「白鳥の歌」ともなった作品。昭和45年11月25日「豊饒の海」完と記されているが、その日はまさしく三島が自衛隊の市ヶ谷駐屯地に乗り込み、割腹自殺を遂げた日だ。小説の末尾で本多が月修時の内玄関にたどり着いた時、60年前を回想しつつ「すべては須臾の間だった」と呆然とするシーンがあるが、その日の三島もそんな想いだったのだろうか。小説のエンディングは予想通りであるとはいえ、我々読者をも深く納得させるものだ。本文には出てこないが「色即是空、空即是色」といった観念だろうか。

2013/10/06

遥かなる想い

三島由紀夫が本書を書き終えた後に、自衛隊市ヶ谷駐屯地に向い、割腹自殺を遂げたのは有名な話であるが、私にはなじみの薄い『輪廻転生』を見事に描ききっている。老残の本多繁邦が出会った少年安永透。彼の脇腹には三つの黒子がはっきりと・・そして、物語の最後の聡子の言葉に衝撃を受け、心地よい余韻に浸っていた。

2010/06/12

れみ

お芝居観るための予復習その④76歳となった本多繁邦は、旅行で訪れた清水港で働く少年・安永透と出会い、彼を松枝清顕、飯沼勲、ジン・ジャンの生まれ変わりと見て養子に迎えるが…というお話。透の家庭教師が語った鼠の話が、何気ない世間話のように見せながら後に印象的に蘇ったり、透の誇り高さを打ち砕く慶子の言葉が、ジン・ジャンの名が彼女の口から出た時に、ああこれは長年の友である本多を思っての義憤というよりも、透が、本多が思うような出自であってたまるか、何故なら…という私憤だったのかな…と思ったり、 →

2018/11/29

蓮子

出会った美しい少年・安永透に転生の印を見つけた本多は彼を養子に迎え、教育する。果たして彼は本当に清顕、勲、月光姫の生まれ変わりなのかーー豊饒の海、完走しました。でも上手く物語を消化できません。「衰えることが病であれば、衰えることの根本原因である肉体こそ病だった」誰しも生きている以上、老い衰えることから、肉体からは逃れられない。万物は流転する。生の終焉は何かの救済なのだろうか?忘却が痛みを、悲しみを癒すように。最終巻の結末を読んで本多が歩んできた人生とは何であったのだろう?と考えずにはいられません。

2019/03/15

かみぶくろ

「これを書き上げたら、死ぬ」、そういう作品である。やはりいつもの三島と違う。書きぶりが大胆というか放埒というか。焦点も遠近も自由な感じで心の赴くまま書いた印象。ラストは、震えた。個から見れば、それは底が完全に抜けた無限の穴である。しんとした日ざかりの庭は、そして物語る自分は、本当に在るのか。認識も全的なものの内。輪廻論の一つの到達点ではあるのだろう。だが、三島がこの作品で最期に切ったカードは、ある意味ジョーカーである。無理矢理に終わりを到来させて、自身は一回性の輝きの中に消えていってしまった…。

2015/03/22

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