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お目出たき人 (新潮文庫)

お目出たき人 (新潮文庫)

お目出たき人 (新潮文庫)

作家
武者小路実篤
出版社
新潮社
発売日
1999-12-27
ISBN
9784101057149
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お目出たき人 (新潮文庫) / 感想・レビュー

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真香@ゆるゆるペース

近所に住む美少女・鶴に熱烈に恋する主人公。ああー、完全に拗らせちゃってるねぇ… 「自分は女に餓えている」。直球すぎて、しかも何度も出てくるから思わず笑ってしまった。鶴と話したことすらないのに、そのポジティブさは一体どこから来るのか?ある意味羨ましくもある。ちょっと引くぐらいの妄想っぷりだけど、超がつくほど一途で、浮気の心配はなさそうな人だ。でも、やっぱり痛いけど。

2019/11/16

takaichiro

話したことのない好みの女性を5年間も思い続ける男。彼女がいそうなところに出かけ、一緒になった電車から降りて後を追う。現代ならストーカー行為と判断されそうな行動も。ダメ男と切り捨てればそれまでだが、ここまで極檀でなくとも、誰しも経験のある心理状態ではないか。この状態が「女に飢えている」時分に合わさり、強烈なエネルギーが体全体に溜まる。その熱に耐える辛さを共感する。文豪作品にはこの手の熱を描くものが少なくない。娯楽が多くない時代。情熱を注ぎ込む対象は少なく、芸術でも思想でも比較的激しいものが芽吹いたのだろう。

2019/08/14

優希

豊かな失恋小説ですね。片思いをして、理想を膨らましていく様子は女性に飢えているようにも感じます。鶴という女性に想いを寄せるも、結局は失恋するのですが、恋をしている間の妄想が強過ぎてお腹いっぱいになりそうです。自分の渇望を満たすと信じて疑わず、口をきいたこともなければ一年近く姿も見ていない。それでも熱烈な想いを募らせ、理想の女性像を作り出します。自分の中で女性を偶像化して崇拝しているのかと思いました。相手の気持ちも考えず、一方的な恋心で突き進む様子はまるでストーカーです。始終お目出たくて面白かったです。

2015/10/12

Miyoshi Hirotaka

年下の美少女の成長を想像しながら疑似恋愛にはまるのは19世紀が起源らしい。名前も正体も明かさず、人づてにプロポーズし、遠目に美少女の成長を見守り、妄想に遊ぶ様子は、現代の若者に酷似。一瞬の勇気を見せた「電車男」の方が明治男よりも果敢。「ロミオとジュリエット」は死者6名、追放1名という肉食系恋愛。武者小路実篤ら白樺派に強い影響を与えたロシアの恋愛は不倫が基本。それに対しわが国は純愛が王道。狩猟と農耕という原始生活の記憶に差か、他民族による征服のあるなしの差か、恋愛と民族、歴史に思いを巡らすと興味が尽きない。

2016/06/11

Shoji

話したこともない相手に一目ぼれ。童貞男の足掛け五年の片思い。然して求婚を申し入れているあたり、単なる片思いではない。一途さが美しい、いや、美しさを通り過ぎて怖い。挙句の果てに振られるのであるが、振られてもなお思い続ける。その有様がお目出たいのである。「きっと彼女は私のことを好きな筈だ、結婚したいと思っている筈だ。」いやはや本当にお目出たい。明治男は立派だ。とまぁ、笑い話のような内容を文学として成立させている辺り、さすがの一冊でした。

2019/06/01

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