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平凡 (新潮文庫)

平凡 (新潮文庫)

平凡 (新潮文庫)

作家
角田光代
出版社
新潮社
発売日
2019-07-26
ISBN
9784101058344
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平凡 (新潮文庫) / 感想・レビュー

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じいじ@只今、リハビリ中

表題作を含む6短篇集。食わず嫌いな角田小説の苦手意識が、幾分か解消される作品だった。個人的には【月が笑う】が好み。結婚6年目に訪れた夫婦の危機。ここ2年は、接吻も性交もなし。でも、一緒にいるだけで安心できる関係(と思っていたのは夫だけか?)。青天の霹靂、妻から突如離婚の申し出が…。夫の心の動揺が、とても巧く描かれていて面白かった。人生を長く続けていると「もし、あの時に…」と気持ちが揺らぐことが多多ある。そんな人生の岐路に立つオンナとオトコたちの切なく虚しい話だが、私は好きです。

2019/11/10

のぶ

もしあの時に別の選択をしていたら、をテーマにした6篇の短編集。どの話も独立していて作品間の関連はない。内容は普通の日常を描いていて特別にドラマチックなものはない。人生の分岐点って誰にでもありますよね。たら、れば、の世界のことで、将棋で言えば「それも一局」ですね。でも選択に迷ったり後悔したことはあると思うが、それがこの短編集には込められている。黒澤明監督の言葉で「人生は一つしかないので、小説を読んだり、映画を観て他人の人生を見るのだ」というのがあり、自分はこうして読書をして実践しているのです。

2019/09/23

エドワード

料理研究家として活躍する同級生と再会する女性の心の裡を描く表題作。彼女は元恋人と同姓同名の男が火事で死んだ後の顛末を探り「呪った。でも、そこまでじゃない。ど平凡な人生を送れって呪ったの。」このセリフが強烈かつ逆説的だ。平凡な人生、は悪口ではない。夫婦と子供、毎日同じ生活、住宅ローンがあっても、結構じゃないか。戦争に行くじゃなし、不治の病に冒されるじゃなし。パラレルワールドとか、私の本当の人生とか、最近よく読むテーマの裏返しのような短編集。人生は別れ道の繰り返し。喧嘩しても別れても、今の人生を生きようよ。

2019/08/08

あも

あの人を選んでいれば、いなければ。あれさえあれば、なければ。あの時、あの時、あの時。誰もが心に抱えたその時。選ばなかった人生を選んだ自分がどこかにいるという空想。そんな空想と後悔の狭間の平穏で平坦で平凡な日々を今日も生きている。幾つもの"もしも"を超えなかった今の自分が、ひょいと"もしも"を超えた自分たちに負けているのかどうか。そんなこと証明しようがないけれど、この人生を生きる自分はここにしかいないことだけは確か。認めても諦めても悔やんでも揺るぎなく確か。さて、丸裸にされた心を何で再び覆えばいいんだろう。

2020/08/20

佐島楓

誰にでもある、「もしあのとき、こうしていなかったら……」という人生における「if」の感情。たいていそれは現状への後悔がつきまとう。本作では、それはそれとして自分の中で咀嚼し、呑み込み、明日への糧とするすべが描かれているように思う。誰だって最善の道は選びたい。だけど、いまさらうじうじ考えたって仕方ないじゃないか――。大切なのは、これからベストを尽くすこと。角田作品なので、そんな爽やかでもないけれど、誰だって多かれ少なかれ似たものを抱えているんだよと教えられ、気分が少し、軽くなった。

2019/07/30

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