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野火(のび) (新潮文庫)

野火(のび) (新潮文庫)

野火(のび) (新潮文庫)

作家
大岡昇平
出版社
新潮社
発売日
1954-05-04
ISBN
9784101065038
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あらすじ

敗北が決定的となったフィリッピン戦線で結核に冒され、わずか数本の芋を渡されて本隊を追放された田村一等兵。野火の燃えひろがる原野を彷徨う田村は、極度の飢えに襲われ、自分の血を吸った蛭まで食べたあげく、友軍の屍体に目を向ける……。平凡な一人の中年男の異常な戦争体験をもとにして、彼がなぜ人肉嗜食に踏み切れなかったかをたどる戦争文学の代表的名作である。

野火(のび) (新潮文庫) / 感想・レビュー

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教科書に掲載された作品だったか、課題図書だったか、学生時代に触れたことがあるらしいが記憶に無く…。今なら理解出来ますが、レイテ戦の話は学生時代の私には難しいと思います。まずレイテ戦を習ったっけ!?から始まるし、当時の思想も、学生だったために…。実際に過酷な戦場で命がけの闘いに参戦された方の作品はとてもリアルです。

2012/10/20

こーた

小説を読みおえて、著者略歴を見る。大岡昇平が戦争へ駆り出された年齢を、計算してみる。三十五歳。小説の主人公田村も、それほどの年齢と考えて差し支えないだろう。いまのぼくは、彼らとほとんど同い年である。この偶然の一致が何よりも衝撃だった。ぼくは男の子だから、もし国が戦争をはじめたら、いずれは兵隊に取られるのだな。そうなったら、イヤだな、怖いな。子どものころから、ずっとそうおもっていた。戦争に対する率直な嫌悪感は、ぼくの場合、この単純な恐怖心に根ざしているといっていい。兵士の思考は飢えて揺らぎ、殺人を、⇒

2018/08/11

いつでも母さん

再読本!読む度にその時々の社会情勢の下、色んな『感想』を持ったと思うのだが、ただ一つ変わらぬものは『戦争は嫌だ』と言う単純なしかしハッキリした思いだ。弾を撃ちあうことだけが戦争ではなく、おそらく起こり得るであろう、この先の爆弾戦や核の脅威でだけではない末端にいる戦士や巻き込まれるそこに住む人々の姿がどうにも苦しい作品なのだ。人間の尊厳など絵に描いた餅でしかない。日本の偉い人(?)や世界中の偉い人(笑)に読んでもらいたい。高校の教科書にどうだろう。正直好きな作品では無いのだが一度は読むべき本ではあると思う。

2015/11/24

ケンイチミズバ

いつも誰かに見られていると彼は感じていた。それは後ろめたいことがある時の神の視線だったのだろう。戦場では神に背く行いばかりだ。周囲は敵に囲まれており騒がれてやむ無く暴発に近いかたちで現地の女を殺してしまう。彼は後悔し懊悩し銃を川に投げ棄てた。兵にとってのそれがいかに大切なるものか、陛下から拝頂した銃だ。しかし、その後も冷静で論理的に思考したが、いよいよ人の道を外れようとする。神の目を逃れ窪地まで引きずった日本兵の死体に銃剣を振り下ろそうとした右手をせっさ、左手が止めた。私にはその瞬間、十字架が見えた。

2017/10/12

よこしま

狂気な極限状態。◆再び戦争起こしてもいいのですか?と問うために読みました。戦争になると人間は狂気になります。法や倫理など無縁な世界です。◆食糧難、不衛生の戦地で、疾病に罹った田村。病院からも隊からも追い出されれば、もはや死を待つのみ。長く彷徨った挙句、同じく不要とされた同僚らとの、殺されたほうが食べられる共食い。◆131頁、屍体を食べようとする時の“剣を持った私の右の手首を、左手が握ったのである”。この文章こそが、この本の訴えてることなのでは。

2015/02/09

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