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ぶらんこ乗り (新潮文庫)

ぶらんこ乗り (新潮文庫)

ぶらんこ乗り (新潮文庫)

作家
いしいしんじ
出版社
新潮社
発売日
2004-07-28
ISBN
9784101069210
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ぶらんこ乗り (新潮文庫) / 感想・レビュー

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ちなぽむ and ぽむの助 @ 休止中

ぶらんこで暮らす、お話づくりが上手な天使みたいな男の子、私の弟。厳しく美しいおばあちゃんと仲睦まじい両親との生活が、弟の話を挟みながら展開していく。 幸せな生活が、しかし序盤から終わりを予感させていて、弟のお話も寂しくて少し怖くて不穏な感じ。嵐のような悲しみを、甘えずに受け入れるということ。「わたしたちはずっと手をにぎっていることはできませんのね」「けどどうだい、すこしだけでもこうして、おたがいにいのちがけで手をつなげるのは、すてきなこととおもうんだよ」わたしたちは誰とも、ずっとは手をつなげない。

2018/09/17

ダリヤ

よむのは、にかいめ。にかいめなのに、はじめてよむように、わらったり、ないたりした。このなかには、わすれちゃいけない、たいせつなものがつまってる。これをよめば、いつだってうまれたてのように、それがよみがえる。つよい、つよいいんりょくをもって、ぶらんこにのって、つながったりはなしたりをくりかえしながら。

2011/10/10

(C17H26O4)

いしいしんじの物語はこわいと思う。誰か分かってくれる人いないかな。こんなに優しくて心温まる物語であっても、狂気みたいなものがあると思ってしまう。心の深淵を覗いてしまったような気持ちになる。この物語では、ぶらんこがむこうへこちらへゆれるたびに、あのこの心にいつもある、真っ暗で吸い込まれそうな孤独を想像してしまう。あのこのふるえがひらがなから伝わって、こちらの心を静かに、だけど激しくふるわせる。あのこのつくったおはなしに潜んでいる毒がまわり、優しさで胸が詰まって苦しくなる。10年ぶりくらい、数度目の再読。

2020/02/26

chimako

何とも不思議な味わいの物語だった。物語中の弟が作るお話は胸がシンとなるような、切ないような悲しいような。この物語自体も物悲しい。突然死んでしまったお父さんとおかあさんから届く絵はがきも素敵なのに悲しい。透明度の高い湖に投げ込まれたような、そんな読み心地。ブランコ乗りの弟は必死に伸ばした手で何をつかもうとしていたんだろう。そして、何を手放したんだろう。

2018/12/09

ちょろこ

揺れた、揺さぶられた一冊。予想外の展開に、弟の心情、姉の心情に心がゆらゆら揺れた。驚きに哀しみに、せつなさに時には笑いに心を揺さぶられた。くりかえし読む絵はがきがまるで過去と現実とに二人を揺らしているようで、たまらなかった。それでもおばあちゃんが過去に揺れた二人を強く厳しさを込めた手で現実へと押すシーンが心に浮かび、厳しさの裏側の優しさを感じ、少し和らいだ。姉の、信じる想いに寄り添った時、やっと心の揺れも穏やかになった気がする。触れた瞬間を確認する、できる、それも幸せのひとつだと思いたい。

2018/09/17

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