KADOKAWA Group

Facebook Twitter LINE はてブ Instagram Pinterest

花のれん (新潮文庫)

花のれん (新潮文庫)

花のれん (新潮文庫)

作家
山崎豊子
出版社
新潮社
発売日
1961-08-17
ISBN
9784101104034
amazonで購入する Kindle版を購入する

花のれん (新潮文庫) / 感想・レビュー

powerd by 読書メーター

三代目 びあだいまおう

明治も終わりを告げ、幾度かの戦争で疲弊と変化を余儀なくされる日本の過渡期、昭和初期に『寄席』というお笑いを商いに、大阪の地で敏腕を発揮した凄い女性がいた!頼りない夫の恥ずかしい最期に膨大な借金だけが残り、降り掛かる幾多の困難を知恵と度胸で乗り越える。義理と情とど根性!彼女の行動指針は恩義で足を向けて眠れぬ感激を相手に残すほど人を大事にする事!効率化の真逆をいくように、常にブルーオーシャンを商いの足場に据え、見事に切り抜けてゆく必死に奮闘する女の生涯を見事に描く!山崎豊子先生に直木賞をもたらした傑作‼️🙇

2019/12/30

遥かなる想い

第39回(1958年)直木賞。 女の大阪商人 多加の生涯を描いた作品である。 大阪弁満載で、明治の大阪の風景が 心地よい。 吉本興業の創業者 吉本せいが モデルらしいが、 夫に 商売に 苦労しながら、懸命に生きる多加の 人生を情緒豊かに描く。

2018/10/01

のっち♬

寄席をはじめたが意思薄弱でぐうたらな夫に先立たれ、多加に残されたのは万とつく借金と幼い息子。「男がやって出来へんことも、女が形振かまわんとやったら出来ることもあると思いますねん」大阪商人の女のなりふり構わない芸人集めと金策にはじまり、資金作りから借金返済、経営拡大まで力強さに溢れた生涯。その繰り出される「ど根性」の数々は男勝りなほど逞しくて凄味がある一方で、「女というものは誰かに愛されているか、愛しているかでなければひたむきになって働けない」と悟る一面もあり、成功の裏の孤独感まで情緒豊かに描かれている。

2020/02/25

優希

強烈な印象を残す作品です。大阪の街を舞台に腕1本で見事に商売をやりのけた女性の物語というだけで凄いとしか言えません。借財を残して亡くなった夫に代わり、なりふりかまわぬ金儲けに走る多加の根性と心意気が痛快です。身を捨てたと言ってもいい力強さ。商売をするためにはここまで体を張らなければならないのかと思うと唸らされます。その生き様からは活力をもらえそうな感じでした。活気あふれる難波風情も伝わってきます。直木賞受賞も頷ける面白さです。

2016/06/01

s-kozy

「わての燃やした花火を、もっとどんどん打ち揚げたい、大阪の街中へわての花のれんを、打揚げ花火みたいに幾つも、幾つも仕掛けたいのや」(139頁)。吉本興業の創業者がモデルの浪速女のど根性一代記。時代は明治の末期から昭和20年代まで。「人間、どんな死に方(生き方)が幸せなのか」と考えさせられた。緻密な取材を小説に昇華させる山崎豊子さんの小説技法の確かさがデビュー二作目で既に表れている。世界大恐慌や関東大震災、太平洋戦争などがどう商売に影響したのかもよく分かった。第39回昭和33(1958)年直木賞受賞作品。

2016/01/27

感想・レビューをもっと見る