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半生の記 (新潮文庫)

半生の記 (新潮文庫)

半生の記 (新潮文庫)

作家
松本清張
出版社
新潮社
発売日
1970-06-29
ISBN
9784101109121
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ジャンル

半生の記 (新潮文庫) / 感想・レビュー

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佐島楓

極貧の少年時代、印刷所に職を得た青年時代、新聞社に勤めた壮年時代・・・。戦争をはさみなおも生活維持に苦しみ続けた清張の筆は、ある種の壮絶さと苦悩ににじんでいる。大変な時代を潜り抜け、学歴的な差別を感じる毎日がのちの作品につながったのだろう。苦労なさった方だとは思っていたが、これほどまでとは知らなかった。

2015/09/04

かふ

図書館本。松本清張が作家になるまでの自伝的エッセイ。職工時代の苦労は、のちの底辺を生きる人々に対する視線となって生かされたのだと思う。朝日新聞という組織の中の一地方の準社員(今で言うハケンさんか?)であった下積み時代が様々な反権力的な作品を書かせたのだ。そして両親の愛情と。両親はお互いに喧嘩が絶えない家庭であったが、それも貧しさ故という社会に対する批評眼を持てたのだ。後の社会派ミステリー作家と成功する糧となる手記であった。

2023/12/13

江口 浩平@教育委員会

【小説】尊敬している校長先生から、座右の書として紹介してもらった一冊。出世の道を閉ざされた松本清張自身が、生きていくために貧困の中腕に職をつけていく姿がなんともハングリー精神に充ちていてカッコよかった。(普通ならば読み進めるのが苦しくなるような展開だったにも関わらず、憧れに近い感情を抱いたのが不思議だった。) 他の方も書いてあるように、どうしてこの後松本清張は小説を書こうという気持ちになっていったのかが窺い知ることが出来ず、続編があっても読んでみたいという気持ちにさせられた。

2019/01/05

i-miya

2010.08.04 (あとがき) 私は自分のことはめったに小説に書いてはいない。体質に合わない私小説。自分に振り向ける挨拶。50歳を過ぎて。昔言われて書いてみていかに面白くないかがわかった。大切なペンシルを途中ポケットから落とした。『西郷札』。2010.08.06 『西郷札』直木賞候補。『三田文学』編集の木々高太郎に何か書くように、と。『或る「小倉日記」伝』芥川賞。元兵器工廠の工員住宅3部屋。

2010/08/14

mymtskd

清張氏といえば、井の頭線沿線の広大なお屋敷に住む大作家という印象をもつが、40過ぎまでは文学とは何ら関係のない貧困と苦労の連続の人生だった。日々の生活に追われる中にあってほぼ独学で自らの教養や洞察力を蓄えてきたことはすごいとしかいいようがない。それが初めて書いた小説がいきなり入賞し直木賞候補にもなり、その後の快進撃につながっていく。幼い頃からの苦労の絶えない半生は読んでいて心が痛むが、一方で壮大なサクセスストーリーとも言えるだろう。この苦労が清張氏の他の追従を許さない作品群の血や肉になっているように思う。

2020/05/23

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