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木 (新潮文庫)

木 (新潮文庫)

木 (新潮文庫)

作家
幸田文
出版社
新潮社
発売日
2022-03-03
ISBN
9784101116129
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ジャンル

木 (新潮文庫) / 感想・レビュー

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アキ

役所広司が第76回カンヌ国際映画祭で最優秀男優賞を受賞した、ヴィム・ヴェンダースの新作映画『PERFECT DAYS』で、主人公・平山が寝っ転がりながら、この本を読んでいた。映画の中で古本屋の女主人が幸田文はもっと評価されていい作家だよねって言ってたが、平山は無言だった。木に関する15篇は著者67歳から80歳までのエッセイ。端正な文章で、父・露伴と藤を無言で眺めた思い出、木肌を着物の柄に例える感覚、マッチ棒の盛衰とポプラの需要の変化など、木にまつわる体験を綴っている。中でも屋久杉への旅は是非体験したい。

2023/12/30

はるを

🌟🌟🌟🌟☆。15篇の随筆集。映画『PERFECT DAYS』で役所広司が演じる主人公、平山が(劇中で)古書店にてこの本を立ち読みしながら購入するシーンが印象的で俺も「読んでみたい。」と思い購入。著者の事も知らないし随筆集も読みつけないし木をはじめとした植物もそんなに興味はないけれど、それでも著者の木に対する溢れる愛を込めた内容と非常に洗練された(真似したいほどの)美しい丁寧な文章に完全に引き込まれた。15篇どれも味わい深い内容だったが特に『藤』が良かったな。なるほど植物が好きな平山が熱中する訳だ。

2024/03/26

Gotoran

父露伴の教えで子どもの頃から木や花に対してひときわ深い愛情を注いできた幸田文。本書は、晩年になって各地の名木古木を訪ねては綴った15編の随筆集。桧、ポプラ、藤、杉、....。描かれた木々の姿は、胸のつまるもの、ほっとするもの、色とりどり。限られた時間の中で、生を慈しむように木々を見つめ、見届け、言葉として表現されていて、しみじみと感銘を受けた。細やかな表現とともに素直な著者の気持ちを窺い知ることが出来た。また実に味わい深かった。

2024/03/02

forest rise field

表紙の爽やかな木々のデザインに惹かれて手に取った。幸田文さんが北海道、屋久島、静岡、桜島など実際に足を運ぶ。樹木や土地の情景描写がリアルで私自身がその場に居るように感じる。読み進めるうちに木の見方が変わった。改めて自然の偉大さを教わった。

2024/02/19

鈴木拓

映画PERFECTDAYSを観終えて、余韻の中ですぐに購入。木の命を感じられる随筆は心を豊かにしてくれる。この本を読んでから外を歩くと、大小様々な植物があることに気づく。いままで通り過ぎていた木の肌が気になり、まじまじと観察して調べてしまう。あるいは、家の柱や天井を見て、これはまだ生きている気がだろうかと考えてみる。そうなのだ、大切なものはすぐそこにあったのだ。著者が足を運ぶ場所には特別な木があるが、彼らが教えてくれることは日常の豊かさだと思う。幸田文さんの作品を他にも読んでみよう。

2024/04/10

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