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石の眼 (新潮文庫 あ 4-10)

石の眼 (新潮文庫 あ 4-10)

石の眼 (新潮文庫 あ 4-10)

作家
安部公房
出版社
新潮社
発売日
0000-00-00
ISBN
9784101121109
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石の眼 (新潮文庫 あ 4-10) / 感想・レビュー

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501

巨大公共事業であるダム建設の裏では醜悪な私利私欲が絡み合い、表は綺麗に整えられた大義名分に飾られ推し進められる。そんな大層な事業でも建設現場という人間個々のミクロの世界ではどんな世界にも存在する猥雑な私情に満たされている。その滑稽ですらある私情が無意味に迷走し、あるいは巨大事業の欠陥を覆い隠し歪に変形させ暴走させる。そんなダム建設の姿が描かれているが、推理合戦を繰り広げるミステリー仕立てが主題の持つ力を弱くしているように感じてしまい個人的には惜しい。

2014/07/23

hiro

僕が安部公房をよく読んだのが約50年前、まだ20代の1960年代半ば頃。そして時系列で再読していくことに・・・1960年作の長編小説4作目。そして「飢餓同盟」に継ぐ日本の社会的テーマ2作目。安部公房はこのダム開発のテーマを書くに当たっていくつものダムを取材したらしい。物語はダム工事の経過で生じた"偽凝結コールド・ジョイント"の疑いを巡る。偽凝結を認めれば工事は遅れ損失となり、そのまま工事を進行させその後欠陥が生じたら大変なことになる。そこに別々な利権を担う担当達の様々な思惑。そして起こった殺人未遂事件。

2020/07/01

人工知能

絶版となっている本作品。解説によると砂の女の前の試行錯誤的作品で、社会派推理小説。ダムをめぐる現場で起きた殺人未遂事件をめぐって、登場人物が互いに疑心暗鬼になっている様を描くと同時に、ダム工事にまつわる関係者の欺瞞も描く。安部公房っぽくはなかった。

2014/10/13

やそん

安部公房さんの本で、登場人物の苗字が沢山出てくるのがなんだか不思議。文体と雰囲気しっかり好きな特徴があって、犯人は誰だ?というような、勝手なイメージで安部さんらくしないミステリー風な話もだんだん引き込まれた。読んどいて良かった!と思いながらも、やっぱり膝からカイワレ生えてくるような安部さんが好きかな〜と再確認。

2020/04/19

井蛙

どうせ藪の中的な結末だろうと思ったら意外にちゃんと解決された。安部公房特有の登場人物のくだくだしい内的独白は、なまじ群像劇の形を取っている分錯綜してフォローするのに骨が折れるけど、そこは著者を信用して読んだ。作中には自分で居場所を選んだが故にかえって山に拘り続ける男と、自分で居場所を選ばないために山に縛りつけられた女とが出てくるが、これなどは次作の『砂の女』を思わせる部分もある。「石を食う虫」のエピソードは一番著者らしい発想を感じさせはしたが、ここでは一狂人の思い付きという小さな役割しか担わされていない。

2019/11/15

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