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カーブの向こう,ユープケッチャ (新潮文庫 あ 4-20)

カーブの向こう,ユープケッチャ (新潮文庫 あ 4-20)

カーブの向こう,ユープケッチャ (新潮文庫 あ 4-20)

作家
安部公房
出版社
新潮社
発売日
1988-12-01
ISBN
9784101121208
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カーブの向こう,ユープケッチャ (新潮文庫 あ 4-20) / 感想・レビュー

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Vakira

【カーブの向う】 生物の一つの目的は縄張りの拡大。それによって生の可能性と環境進化が促される。生きる世界があるから生きているのか?それとも生きているから世界があるのか?あの丘のカーブの向こう、記憶がなければカーブの向こうの自分の世界はないのと一緒。未知の世界に踏み出すか?出さないかは自分次第。そして自分を繋ぐには自分だけじゃだめ。女性を見つけなきゃ。あ~いたいた。カフェのママ。あら 旦那がいるじゃん。旦那さん 失踪したらこっちのもの。

2021/09/07

GaGa

「ごろつき」が初期安部文学としては傑作なのだろう。表題作二作はどちらかと言うと今後の傑作の習作のような気がする。「ごろつき」の中に漂う無常感は戦後間もなくの閉塞感の中でしたたかさを表現していてなかなか読ませてくれる。「手段」も実験的作品ながらも私は個人的には好き。

2013/01/23

ドン•マルロー

『砂の女』『燃え尽きた地図』『方舟さくら丸』の原型となった三作を収録する本書は、極上のファンブックと言えるだろう。いかにしてそれら傑作長篇に昇華されるに至ったのか、想像をかき立てられるし、作品理解に新たな光を照射してくれもするからだ。しかし、それだけではない。ほかの六編の短編も傾聴に値する独特の音色を響かせてくれる。SFとミステリーという二兎を追うことを冒頭にて高らかに宣言し、しかも完全犯罪を遂げてしまう『完全映画』。飲みながら「ノミ」と会話する話も良い。益虫と呼ばれることが、それほど名誉なことかい?

2016/06/23

拓也 ◆mOrYeBoQbw

奇想短篇集。『砂の女』『燃えつきた地図』『方舟さくら丸』の原型となる短篇を含んだ、9篇の短篇が含まれています。上記の長篇とは違った短篇として完結してる形にしてて、単体としても十分楽しめ、他の6篇も安部氏の迷宮が味わえます。特に『方舟さくら丸』の原型『ユープケッチャ』は、短いながらも隠喩や象徴がラストシーンに集約されていくのが上手い作りなってます。全体的に”厭な物語”の雰囲気も多いので、好みは分かれると思いますが色んな奇想文学にも影響を与えているので、一読する価値はありますね(・ω・)ノシ

2016/11/16

マリリン

砂・地図・箱・ベッド等が登場して、既読の安部公房作品を想わせる短編集。大きな蟻地獄の底にいるような抜け出すことのできない絶望感と閉塞感がある『チチンデラ ヤバナ』が特に面白い。読了と同時に得られる開放感があるから…、か?既読の『砂の女』も再読したら違った感じ方ができるかもしれない。発想が面白い『手段』『月に飛んだノミの話』『完全映画』も。『ユープケッチャ』はカフカの「変身」を思い出した。 人間に限らず閉じこもる事の心地良さはあるのかもしれない。閉じこもり外部を遮断する事で得られる対極にあるものは...。

2020/01/14

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