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望郷 (新潮文庫 に 2-11)

望郷 (新潮文庫 に 2-11)

望郷 (新潮文庫 に 2-11)

作家
新田次郎
出版社
新潮社
発売日
1977-01-01
ISBN
9784101122113
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ジャンル

望郷 (新潮文庫 に 2-11) / 感想・レビュー

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まーみーよー

新田次郎自身の満州引き揚げ体験を基にした小説「望郷」他戦争文学6編。「望郷」は妻藤原てい「流れる星は生きている」と対のような作品。終戦後満州で妻子と離れ捕虜となり、中共軍の技術者の職につき離れた妻と子どもを思う。妻の作品では離れた新田次郎の消息を人にたずね、生きていることを願う。満州引き揚げについては、この二作を読むまで記録としては知っていたが、ここまで苛酷なものとは思いもしなかった。引き揚げ船に行くつくまでには常に死が隣り合わせであり、小説に残すまで悪夢を見てなかなか筆が進まなかったとのこと。

2019/12/25

桜もち 太郎

戦後、大陸から日本へ帰還する男の話が主になっている短編集。作者の実体験から書かれたものであり、想像を絶する話だ。作者の奥さんの藤原ていさんの作品「流れる星は生きている」は夫人が夫と離れて帰還する物語だが、「望郷」は夫の立場での話としてとても興味深かった。沖縄戦での気象台の話も掲載されている、反戦の作品。それにしても無抵抗の市民を無差別攻撃したアメリカ。彼らの言う正義の意味がわからない。

2014/10/03

さっと

自身の引揚体験をもとにした表題作はじめ、戦争を題材にした短編6編収録の作品集。技術者であるが故に職を得る一方、半ば軟禁状態にされ異国の地に留めおかれ、日に日に強くなる郷愁に胸はしめつけられる。その後、引揚団体の一員となって胡盧島を目指すも、衰弱して倒れていく同胞、気になる追っ手・・と一通りではない苦難が描かれる「望郷」は、改めて、すさまじい引揚体験談である。また、「生き残った一人」「西沙島から蒸発した男」の2編は気象台員を主人公にした作品で、作者らしい題材で戦中・戦後を描いていて興味深い。

2012/06/03

さざなみ

大活字本シリーズの上下2巻で読む。 「流れる星は生きている」を読み終えた後、あらためて新田次郎と藤原正彦の本を読み漁っている。 満州からの引揚げ、過酷な運命に立ち向かい無事帰国できたおかげでこのような素晴らしい小説に出会えたことが本当にうれしい。 知人の中にも引揚者は数人おられるが、大なり小なり同じような経験をされてることと思うと複雑な気持ちにされる。

2015/10/12

よしも

新田次郎と言えば山岳小説のイメージしかなかったが、この作品を読んで覆された。第二次世界大戦中、後の満州からの日本兵の引き揚げの苦労、悲惨さやシベリアでの強制労働などの中に時代観や季節感、あの風景描写が加わりリアルに生々しく伝わってくるものがあった。望郷は新田次郎の数多いの中でも上位に入る作品だと思っています。

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