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冬の優しさ (新潮文庫 え 1-26)

冬の優しさ (新潮文庫 え 1-26)

冬の優しさ (新潮文庫 え 1-26)

作家
遠藤周作
出版社
新潮社
発売日
1987-10-01
ISBN
9784101123264
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冬の優しさ (新潮文庫 え 1-26) / 感想・レビュー

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豆ぽち

『父さん母さんと同じように お前も辛い目に合うだろう でもそんなことは何でもない』辛いとき、生まれて来なければ良かったと思う。死んだほうがいいと思う。「でもそんなことなんでもない」のなら、生きる上で大切なものが他にあるのだろうか。『人生というのは、将来がわからないから生きる甲斐があるのであって、将来がわかっておれば、生きる意味もなくなってしまう』と氏が言うように、辛苦の先に見える何かに出会うために、我々は行き続けるのかもしれない。まだ見ぬ果てに生まれた意味、生きてきた答えを見つけられるだろうか。

2017/01/20

ともっこ

堀辰雄の小説の考察、仏留学時代、作家仲間との交流、医療や福祉に関する考察、ルオーの絵画について等、遠藤の深い思考とユーモア溢れるエッセイ。 「ヨーロッパの悪の深さ」の壁にぶつかったエピソードが印象的だ。 異国を知れば知るほど距離と孤独を感じたのだろう。

2021/10/30

piro

35年前に刊行された遠藤先生の自伝的エッセイ。フランス留学時の話が最も印象的で、濃密な体験や敗北感といったものが、作家・遠藤周作の根幹を作り上げたのだと感じます。『このヨーロッパは日本人の感覚ではついていけぬ何かがある。善の深さも悪の深さも、その高貴な精神もその美しい芸術も。私はわずかな歳月ではあったが巨大なその壁にぶつかり、自分とこの国との距離感だけを強く意識するようになった。そしてその揚句「病気になった」。』この時の思いが、『深い河』の大津の思いにも重なる様で、思わず心の中で唸ってしまいました。

2017/11/06

桜もち 太郎

すぐれた作家は、どれだけ深い人生を歩んできたか、どれだけ一つの事に人生を懸け探求してきたのか、そして内面に蓄えたか、それが小説や随筆の深さにつながると思う。戦争の苦しさ、フランス留学で受けた差別、結核による大手術、常に死が身近にあった遠藤周作。彼の場合キリスト教信仰によりさらに深みを増しているのではないだろうか。現代作家ではとてもかなわない気がする。しかし未来に対して懐疑を持ちかねない、今の世代に対して題名の「冬の優しさ」のような目線で、彼の心を伝えてくれている。少しでも人生に希望が持てるように。

2016/05/25

亀山正喜

これを貸してくれた同僚は、折に触れてこのエッセイを読み返すのだという。途中までなんでなのかはわからなかったが、読み終えるとなるほどとなった。遠藤周作という人間に触れることができ、作品の奥行きに気付けそうだなとかも思うが、単純に文としての艶や、湿潤を感じる。文章でここまで表現できるんだなぁ‥

2023/04/30

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