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性的人間 (新潮文庫)

性的人間 (新潮文庫)

性的人間 (新潮文庫)

作家
大江健三郎
出版社
新潮社
発売日
1968-04-29
ISBN
9784101126043
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ジャンル

性的人間 (新潮文庫) / 感想・レビュー

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ヴェネツィア

再読。60年安保前後に書かれた3つの中編を収録。いずれの作品でも、主人公は社会と奇妙な接点においてしか対峙できない。そして、政治的にはほぼ正反対なのだが、これら一連の作品(特に『セヴンティーン』)は三島文学との近接性を感じさせ、あらためて彼らは同時代を生きた(60年安保当時、三島が35歳、大江は25歳)のだなあと思う。61年発表の『セヴンティーン』には、「ナチスの親衛隊の制服を模したもの」に身を固め「クーデターをひきおこす力になりたい」と希望する「おれ」が語られている。後年の三島を予見しているかのようだ。

2012/07/02

遥かなる想い

「性的人間」という題名がついた本を堂々と読める程、私は大人ではなかった。そのため、ゆっくり読むことができず、なぜか読みながらあせっていた。例えは悪いが、エロ本を見る時と同じ感覚である。青年の性への欲望を描いた小説は多いのだが、本作品は読んでいて少し変な感覚があり、よくわからなかった。

2010/06/19

ナマアタタカイカタタタキキ

隠蔽しようとして翻弄されようと、誇らしげに掲げるようになろうと、人は生まれながらにして身体の中心にそれぞれ縫い付けられた具物の呪縛からは一生逃れられない。しかし具物は決してその人間そのものたり得ない。そこに他者の視線があるからこそ、それをわざわざ隠したり逆に誇示したりするが、それとどう向き合うか、そしてどのような表現方法を採るか、それこそがまさにその人本来の在り方となっていく…そんなことを漠然と考えさせられた。どの話にも共通しているのは、ハッピーエンドとバッドエンドが綯い交ぜになったような複雑な読後感。→

2020/12/18

nakanaka

「平凡パンチの三島由紀夫」を読んで山口二矢を知り、大江健三郎が彼をモデルにしたこの作品を書いたことを知りました。表題である「性的人間」とお目当ての「セブンティーン」と「共同生活」の三篇。凄い作家であることは疑いようもなく、個性的な登場人物は素より変態的なことや滑稽なことの表現が並ではない。一番印象深かったのは「性的人間」でした。「セブンティーン」は後編の「政治少年死す」があっての完結なんでしょうね。終わり方が中途半端だと感じました。諸事情により世に出ていないというのが残念です。読んでみたかったなぁ。

2015/12/06

榊原 香織

前期、後期と作風の変わり目に位置する中短編。 性的なものを採用する、と決めた時期。 中々問題作。表題作は痴漢。 ”セブンティーン” 右翼青年の内面に迫る。後半は発表できなかったそうです。実在の犯人モデルだから(1960年の社会党委員長暗殺)

2022/02/18

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