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赤ひげ診療譚 (新潮文庫)

赤ひげ診療譚 (新潮文庫)

赤ひげ診療譚 (新潮文庫)

作家
山本周五郎
出版社
新潮社
発売日
1964-10-13
ISBN
9784101134062
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赤ひげ診療譚 (新潮文庫) / 感想・レビュー

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ヴェネツィア

8つの連作短篇を集積して長編化したもの。「オール読物」に連載されていたことによるものだが、最初から長編の構想はあったものと思われる。もっとも、物語のごくごく初めから結末及びプロット進行のおおよその予想はつく。そして、まさにその通りに進むのだが、その意外性のなさは、むしろ読者にとっては心地よいものでもある。長崎帰りの新進気鋭の医師の登(主人公)のビルドゥングスロマンを「赤ひげ」こと新出去定の人格の造型を背景に描いてゆく。通俗性は否めないが、たしかに上手い練達の小説運びである。

2021/04/18

抹茶モナカ

貧乏と無知が人を愚かにするが、それはその人の罪ではない。愚かであっても、『人間』なのだ。連作短編集形式で、主人公保本登の成長を描く傑作。結構現代的だったりする。山本周五郎さんには興味があったのだけど、手にしたのは宮部みゆきさん著の『淋しい狩人』がキッカケ。そちらも興味があれば、是非。

2013/09/27

ももたろう

人の一生には「自分が変わる瞬間」というものがある。この作品では、それが描かれている。それは「心底から尊敬できる人間との出会い」である。だから、この作品は感化の物語だと言える。臭くて、汚くて、多忙で、給与は極めて少なくて、医者としての名声も得られない小石川養生所で、赤ひげと出会い、感化された保本。彼は、お金がなくて医者に診てもらうことのできない貧困に苦しむ者たちの命を救うことが人生の目的となった。黒澤明監督が映画化したことでも知られる、周五郎渾身の快作であった。素晴らしい作品なので、万人にお勧めしたい。

2017/09/03

TATA

長年にわたって実家の母が絶賛していた作品。ようやく手に取って読むことができた。昭和33年の作品だが、時を経ても決して色褪せるものではない。長崎留学から戻った若き医師。婚約者に去られ、願いとは異なる職場に配属され何かと尖ったやり取りばかりの主人公。だけど思うままにならない環境こそ自身を発展させることになるという成長譚。最後の去定とのやり取りが何よりの成長の証。もしかしたら母は若い頃の僕にこういった成長を望んでいたのかな。

2019/01/23

nakanaka

これまでに何度も映像化されている作品であることは知っていましたが内容に触れたのは初めてでした。赤ひげこと新出去定医長の小石川養生所に勤務を命ぜられた保本登の成長を描く内容。去定の圧倒的な存在感と器の大きさに読者は魅せられてしまいます。医療ものかと思っていましたが、養生所の患者である貧しい人々との交流がメインでした。時代小説としてはこれまで読んだことの無い角度から描かれているので新鮮で面白かったです。魅力的なキャラクターとストーリーなので続編が無いことが残念でなりません。

2018/12/04

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