ちはやふる奥の細道 (新潮文庫 こ 10-15)
ちはやふる奥の細道 (新潮文庫 こ 10-15) / 感想・レビュー
takaC
このセンス、好きだ。大好きだ。
2013/06/02
瓜坊
日本文化の研究者フラナガン氏が語る芭蕉の足跡。という体裁のパロディ本。落語の「千早振る」のようにありえない解釈、こじつけで生まれるギャグ。ただ、自分で情けなく思うのは、パロディを読んで楽しむには真実の芭蕉知識が足りてないこと。知識がないとフラナガン氏みたいなヤツの語ることすら真贋を見抜けないという皮肉。奥の細道くらいはちゃんと読まないとダメですね。〈ワビ、サビも時にはワサビという形で括られる〉研究者という設定で、こんな調子のギャグが続く。俳句を無理矢理、違う解釈で見るという遊びは楽しそうな気がしてきた。
2020/09/22
フリスビー
日本文化研究の若手No.1を自任する“気鋭のアメリカ人”が俳聖・松尾芭蕉の生涯を追跡し、芭蕉の真実の人間像に迫った…。はずなんですが、誤解に満ちた勘違いが笑わせてくれます。パロディ小説ですが、知的エンターテイメントとしても秀逸です。ひじょうに懐の深い作品ですね。
2013/05/26
ネムル
日本を勘違いした外人ネタのパロディというのも現代では古びた感があって、本作が今なお面白いかというと微妙な気が。それでも俳句の語の少なさから自由に解釈するのは秀逸で、他にもおもろい小ネタがたまにあって困る。芭蕉のイメージがボガード扮するサム・スペードとか、寿司屋の注文の件とか。「アボカドとパイナップルと納豆の手巻きが欲しいな」「シソの葉を入れますか」「シソの葉と、柴漬けを入れてくれ」云々「ドレッシングは何にします」って、もう完全にサブウェイ状態。
2011/12/31
おとん707
アメリカの日本文化研究家W.C.フラナガンによる芭蕉の奥の細道を題材にした評伝Road to the Deep Northの小林信彦による邦訳本だがフラナガンの日本文化の理解度が著しく劣っており、誤解や早とちりが無数にある。それを訳者が丁寧に訳注で正しているがアメリカの知識人でもこの程度の理解かと苦笑を禁じ得ない。侘びと寂でわさびとか、柿食えばのカキは牡蠣だとか。雑誌掲載時にも書評で叩かれたそうだが、種を明かせばすべてが小林信彦の創作狂言。こんなハチャメチャな文学作品があろうとは。現在絶版なのが残念。
2020/12/11
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