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富豪刑事 (新潮文庫)

富豪刑事 (新潮文庫)

富豪刑事 (新潮文庫)

作家
筒井康隆
出版社
新潮社
発売日
1984-01-12
ISBN
9784101171166
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「富豪刑事 (新潮文庫)」のおすすめレビュー

筒井康隆が描く累計116万部突破の異色の警察ミステリー小説。大富豪の刑事、事件解決のために金を使いまくる!?

『富豪刑事』(筒井康隆/新潮文庫)

 累計発行部数116万部を突破している筒井康隆の小説『富豪刑事』(新潮文庫)。2005年に深田恭子主演でドラマ化されたイメージが強いが、原作の主人公は神戸大助という男性で、捜査会議中もハバナから取り寄せた1本8500円の葉巻を吸い、10万円もするライターをしょっちゅうそこらに置き忘れ、愛車のキャデラックを乗り回す大富豪の一人息子であり、また捜査一課の刑事でもある。

 2022年に放送されたアニメ版では、オリジナルキャラクターの人情派刑事と対比的に、クールでちょっといけすかないが有能な人間として描かれていて、それはそれでそそるものがあったけれど、どちらかというとお人好しでピュア、世間ずれしていない性格ゆえに、周囲からいじられる対象になっている原作の神戸大助も、全力で推していきたい。

 というかまず、小説としての完成度がとにかく高くて、おもしろすぎる。第一話では、時効が迫る5億円強盗事件の犯人をあぶりだすために「容疑者4人が大金を使わざるを得ない状況に追いやればいいのでは?」と盛大なハニートラップを仕掛けるのだが、犯人が…

2023/11/16

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富豪刑事 (新潮文庫) / 感想・レビュー

powerd by 読書メーター

ehirano1

筒井御大のやりたい放題という作品でした(笑)。でもなんかクセになりそうです。

2017/03/18

absinthe

主人公がやたらと控えめで驚いた。いつもオドオドしており、最近だと金持ちはこう書くという常識の反対を行く。シリーズというと同じ骨組みに飾りつけだけ変えるものが多いが中、本作は短編4編まったく型にはまらず同じシリーズとは思えないほど異なる。一度使ったパターンは、型ごと壊さないと気が済まないのは筒井さんのこだわりか。ここまで新しいものを求め続けると、正直この作家に長期シリーズは無理だと思われる。文体というか表現そのものを味わうべき作品で、映像化には向いてない。

2021/03/28

じいじ

 筒井康隆の喜劇ミステリーは最高です。綿密に計算されたハチャメチャ劇が何とも言えない面白さだ。主人公は、ハバナから取り寄せた1本8000円の葉巻をくゆらせ、颯爽とキャデラックを乗り回すちょっとキザで小粋な刑事。金にモノを言わせて、密室殺人事件、誘拐事件…を次々に解決していきます。痛快、奇想天外、ちょっぴり風刺も効いて、ほんのりお色気もあって…疲れた頭脳をすっきり、しゃっきりさせるには恰好の本です。私も、彼のような使い切れないほどの財産を持った父親、否パトロンが欲しいものだ…。

2017/02/08

中原れい

はるか昔から数えたら何読めだろう…久しぶりで読んだら、やっぱり作者らしくて楽しかった。本当の金持ち育ちらしい迫らない憎めない感じは、動物園園長の息子で誇らしい育ちをした作者とつながるような気がしていたっけ。刑事たちの風貌を往年の俳優になぞらえるのは、時代に合わなくなってくるかなあ、と少し残念。朴念仁と見せてしっかり鈴江を意識しているのがほほえましかった。内容が「軽くミステリー」なのは以前の印象と同じ。どちらかというとテレビのサスペンス風でもあった。疲れた時にしみます^^

2020/07/05

優希

面白かったです。斬新な発想が見られました。キャデラックを乗り回し、最高のハバナの葉巻をくゆらせる「富豪刑事」が迷宮入りの事件を解決して行きます。4つの事件を織り込んでいますが、どれとして同じような事件はなく、トリックもそれぞれ異なっていました。ただ、解決するのにお金の力を巧みに遣うのが反則に思えます。そこが新しいミステリーと言えるところでしょう。肩が凝らず、サクッと読めますが、ぶっ飛んでいるのが筒井サンらしいところです。

2015/10/24

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