旅のラゴス (新潮文庫)
「旅のラゴス (新潮文庫)」のおすすめレビュー
「ジブリがアニメ化を持ちかけ断られた」というデマが出た作品。生涯をかけて旅する男を描いた筒井康隆の傑作SF長編
『旅のラゴス(新潮文庫)』(筒井康隆/新潮社)
読み終えた時、何だかうっとりしてしまった。旅とは人生であり、人生とは旅だ。やりたいことを貫き通し、ただ黙々と旅を続ける主人公の姿に憧れさえ抱いてしまう。
そんな作品が、筒井康隆の『旅のラゴス(新潮文庫)』(筒井康隆/新潮社)。時代を超えて愛され続けるSF小説だ。この作品の単行本が刊行されたのは1986年だが、2014年頃、再び文庫版がヒットを飛ばし、今もなお、その人気は止まることを知らない。昨今のヒットのそもそものキッカケは、Twitterで広まっていた「スタジオジブリが『旅のラゴス』のアニメ化を筒井康隆に持ちかけたが、筒井が断った」というデマが発端らしいが、なるほど、確かにこの作品はジブリっぽい世界観かもしれない。多くの読書家たちが、愛読書として紹介するのも納得。心にじんわりと染み渡る傑作なのだ。
物語は、唐突に始まる。主人公は、北から南へと向かう旅人・ラゴス。彼は南を目指す途中、リゴンドラへ向かう牧畜民族・ムルダム一族に加えてもらい、初めて「スカシウマ」や「ミドリウシ」などと寝起きをともにした。…
2023/10/25
全文を読むおすすめレビューをもっと見る
旅のラゴス (新潮文庫) / 感想・レビュー
しんごろ
モテモテのラゴスと一緒に旅したというか、RPGを体験した気分!。おれ→わたしに変わるのが好き!人生の長さも感じてラゴスと長く過ごした気分になったよ!BGMに東京エスムジカのアルバムを聴きながら再読したいな。歳を重ねても、何度でも再読できる作品です。
2015/10/05
ehirano1
著者の作品は本書が初ということもあってか(?)、なかなか難解でした。しかし「自らの根源、自らの生を実現することが、本質的に自己完結的な営みではなく、むしろ他者に向かって開かれているものだ、・・・(p257)」という解説で本書がだいぶ分かったような気になっています(失笑・・・)。
2016/09/03
青乃108号
旅人ラゴスの半世紀に渡る旅の記録。それぞれの逗留地で奴隷になったかと思えば国王になったりまた学者になったりしながら彼の旅は終わらない。最後は昔会った少女デーデの面影を追い最果ての北の地へ旅立つラゴス。全編に渡って静かな印象の物語。寝る前に一章ずつ読む本に丁度良い。俺は何度も途中で眠ってしまったけれど。
2022/09/17
seacalf
どこにも存在しない世界に、特殊能力を持つ人達との出会いの旅。序盤は寓意的な語り方が非常に面白かった。SFは学生以来ほとんど読んでないけれど、この作品はおとぎ話にも似たストーリー展開で読みやすい。ただ、恋愛に関しては『ラゴスよ、大切なことはもっと早くに気付こうよ』と言ってあげたくなるかな。
2016/02/26
れみ
高度な文明を突然失ったかわりに超能力を身につけた人々が暮らす「この世界」で旅を続ける主人公ラゴスのお話。「王国への道」が好きかな。こんな風にたくさんの本を読んで暮らしたい。それはそれとして、いま私たちが生きる「この世界」も行き着くところまで行ったらそこで突然全てを失うのかなあとか、知らないだけでそうやってグルグルと同じところを回っているんじゃないかとか、色々妄想してしまった。
2015/11/13
感想・レビューをもっと見る