KADOKAWA Group

Facebook Twitter LINE はてブ Instagram Pinterest

パプリカ (新潮文庫)

パプリカ (新潮文庫)

パプリカ (新潮文庫)

作家
筒井康隆
出版社
新潮社
発売日
2002-10-30
ISBN
9784101171401
amazonで購入する Kindle版を購入する

「パプリカ (新潮文庫)」のおすすめレビュー

今敏監督の遺作、サイケデリックな狂気的映画『パプリカ』の原作。夢に入り込む精神病治療に説得力があるわけ

『パプリカ』(筒井康隆/新潮社)

 悪夢に苦しめられた経験は誰しもあるだろう。僕の同居人もひどい悪夢に頻繁に悩まされては夜な夜なうなされているタイプの人間だった。

 殺人鬼に追いかけられた、逆に包丁で人を刺しまくった、玄関の扉を開けようと巨漢がガチャガチャ捻り続けている……そういった悪夢を幾度となく聞かされたことを、今でも覚えている。僕が登場することもしばしばあるらしいが、もちろん僕自身の意思を持っているわけではない。同居人の夢の中に入り込み、悪夢から救い出すことができればどれほどいいか、と何度考えたことか……。

『パプリカ』(筒井康隆/新潮社)は、他人の夢にアクセスする機器を使い、夢を通じて患者の精神病の治癒を試みる「パプリカ」という名のサイコセラピストを描いたSF小説である。単行本は、今から30年前の1993年に中央公論社から刊行されている。

 今敏監督の遺作となった映画『パプリカ』の原作であるが、描かれ方は少しだけ異なる。しかし、サイコセラピストが患者の夢の中に入り治療する中、病院内に裏切者が出て、他人の夢に重度分裂症(※)の患者の夢を差し込むなど…

2023/10/27

全文を読む

おすすめレビューをもっと見る

パプリカ (新潮文庫) / 感想・レビュー

powerd by 読書メーター

ちょこまーぶる

年末までには読もうと思ったけど、なかなか読み進むことができなかった。自分には合わなかったのだろうか。話の内容が複雑で、現実の場面と夢?妄想?の場面が頭の中で混同してしまって、整理がつかない状況になり、何度か挫折しそうになってしまった。おそらく、集中して読んだら感想も違っていた一冊になったと思う。確か、映像化されていたと思うが、見てみたい気もする。すっきりするために…。

2014/01/02

chiru

患者の夢を画像化する近未来で、心の治療を行う『パプリカ』。やがて可能となった他人との「夢」の共有装置は、無秩序に混濁した扉を開けるカードキー。治療者であるパプリカまでもが、治療と称するセックスや敵との攻防を繰り返し、夢から抜け出せなくなる…。バニラスカイ、ファイトクラブ、インセプション系。ラスト2Pのエピソードが真のテーマかもしれない。「PS,アイラブユー」が静かに流れるバーで、二人が語る意味深な会話。夢を見る「誰か」を見つめる「誰か」を語る「誰か」。このシーンがあってこその問いかけが怖い。★3.5

2020/02/23

優希

未体験の世界を味わいました。夢の中を戦場に駆けめぐる超電脳サイコサスペンス。サイコセラピストの敦子の夢探偵パプリカとしての顔。無意識下での最新精神治療テクノロジーをめぐる戦いが時間の経過と共に侵攻し、現実と夢の極限まで達するのには興奮しました。段々と複雑化していく物語は、夢ならではの荒唐無稽さが際立っているように思います。何処に着地しているのか分からなくなる世界観は筒井サンならではですね。前半と後半で物語の趣が違うのも味わい深いです。日本版『インセプション』と言えるかもしれません。

2016/05/08

夜長月🌙@5/19文学フリマQ38

なかなか破天荒なSF?パプリカはとても魅力的な女性でしたが後半は影が薄くて残念。他人の脳(意識)に入り込む機器というのはおもしろかったのですが、その後の展開はいまいちでした。

2020/08/02

y--75

夢を題材にしたSF(というかファンタジー?)。主人公達の研究を妬み、憎む同僚及び幹部との抗争が描かれている。抗争はストーリー終盤、とんでもない方向に発展し、カオスなものとなる。同作者の短編である「悪夢の真相」を過激かつSFらしく、シュールな方向に進化させた作品に思えなくもない。

2020/05/05

感想・レビューをもっと見る