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花埋み (新潮文庫)

花埋み (新潮文庫)

花埋み (新潮文庫)

作家
渡辺淳一
出版社
新潮社
発売日
1975-06-03
ISBN
9784101176017
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ジャンル

花埋み (新潮文庫) / 感想・レビュー

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おしゃべりメガネ

圧倒されました。とにかく圧巻でした。日本最初の女医「荻野吟子」の物語。人はこんなに苦労に苦労を重ねても、果たしてブレるコトなく、ひたすら信念を貫き通せるのかと、ただただ敬服いたします。本作を読むと自分のやりたいコト、あるべき姿を信じて疑うコトのない主人公の姿にとにかく惹きつけられました。昔、女性がとにかく蔑視されていた時代にこんなにも幾多の苦難を乗り越えてきた主人公のコトを思うと、今の自分がおかれている環境はなんて甘く、幸せなんだろうと。波乱万丈な人生は多数ありますが、彼女の波乱万丈は桁違いの領域でした。

2020/10/18

Shinji

このような生き方を明治の時代に女性がしたという事にただただ驚愕しました。男尊女卑がスタンダードな世の中で、病気をうつされたのは元より清廉潔白ではなかった事に対する夫への見切り、そして診察の羞恥から前例のない女医を目指すという「荻野吟子」の物語が史実を元にしてある事に重ねて驚きでした。 とてつもない勉学と苦労をかさねて医師資格を得た吟子が男を愛し、その結果北海道開拓失敗で時間を浪費し医療の進歩についていけてなかった事に気づいた時の喪失感は読み手のこちらにも痛いほど伝わりました。心に刻み置きたい作品です。

2016/11/19

あつひめ

数年前、インマヌエルの教会へ行ったことがある。何もない…こんな所に…と思った。その時、私は荻野吟子さんについてよく知らなかったので教会でもピンとくることは何も無かった。今回、吟子さんについて知りたくてこの本を手にした。埼玉出身だったとは。一言いろんな苦労を乗り越えた努力家だと言ってしまえば容易いかもしれないが、並大抵な努力だけでは叶わぬことが多かったと思う。出逢いは必然とでも言おうか、ピンチがチャンスになるように縁は巡る。女性の味方として生きることが心の支えだったのか。女医として女として満足できたろうか。

2017/01/12

美雀(みすず)

日本で第一号の女医、荻野吟子の評伝です。17歳で結婚、夫から性病をうつされ、男性医師に患部を診察された屈辱を晴らすように自ら医師になる。一昨年の大河の「八重の桜」と重なるような描写や、北海道開拓史とキリスト教徒の事も書いてありました。再読して良かった。

2015/01/07

陽子

時は明治初頭。日本初の女医、荻野吟子の波瀾万丈の生涯はドラマ性があり、ぐいぐいと引き込まれた。この時代の女性蔑視、偏見と差別の中、計り知れない困難と戦いながら、女医になるための道を切り拓いていった吟子。彼女の情熱と行動力の源は、最初の結婚で夫からうつされた淋病の治療の際に体験した屈辱だった。女性の性の切なさを思った。苦労の末に産婦人科医として独り立ちするものの、思いがけない再婚による第二幕の苦難の人生。北海道の開拓にも関わり、今住むこの地が先人の壮絶な努力の上にあることを再確認した。現存した一女性の物語。

2021/07/18

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