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メタモルフォシス (新潮文庫)

メタモルフォシス (新潮文庫)

メタモルフォシス (新潮文庫)

作家
羽田圭介
出版社
新潮社
発売日
2015-10-28
ISBN
9784101201610
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ジャンル

メタモルフォシス (新潮文庫) / 感想・レビュー

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ヴェネツィア

芥川賞作家が書いたSM小説。表題作と「トーキョーの調教」の2篇を収録。後者は習作的な印象だが、「メタモルフォシス」は本格的なハード派マゾヒズム小説だ。団鬼六を筆頭とするエンターテインメント系のSM小説とは大きく一線を画している。エンターテインメント系では、マゾヒスト役は妙齢の美女で、緊縛も伴うが主たる趣向は隠微ないたぶりにあり、羞恥責めに帰する。ところが、本作でのマゾヒストは男であり、究極は命をも投げ出しかねないほどの本格派である。ここまで来ると、もはや性的なものからさえも逸脱(超越)しているかのようだ。

2018/11/27

ソルティ

このテーマだけに大ハマりできないけど結構いい。ほんとのSMってこうなんだ⋯。Mの人は死ぬ直前まで痛めつけられても性的に興奮?!それだと生命力が弱いよね。本当に死んでも、気持ちいい顔で死ぬんだって。表題作はそういう感じだがもう一編「トーキョーの調教」はアナウンサーの世界と、プレイ中と普段では立場が逆転するって設定がおもしろい。こっちの方が好き。羽田さんもう少し読んでみたいです!「自分が何者かは、機会に晒されないとわからないよ。三〇歳前後の赤いボンテージ姿の女王様はカトウの隣で煙草を吸いながらそう言った。」

2021/04/28

りゅう☆

価値観の違いとでもいうのかな。求めてる快楽が私にはよくわかりませんでした。快楽追求しても死んだら意味ないし。収入もそこそこのサトウはとてつもないM。犬に扮しての散歩、強要されつつ喜んでヤる男性との性交、下僕扱いの激しい鞭やプレイに女王様の黄金を食すって…吐きそう。そして普通に家庭を持ち、妻とも不満のない性生活送るもSM世界にハマりつつあることに気付くカトウ。女王様はまさかの自分の講義の生徒というね。羽田さん初なんだけど解説で「小説家は変態くらいがちょうどいい」ってことだけど、こんな変態作品が多いのかしら…

2017/12/30

まーちゃん

作者は、タイトルの「メタモルフォシス」に①幼虫から成虫になるまでに生物がその形態を変える「変態」と②性的倒錯を指す「変態」のダブルミーニングを持たせている。題材が題材だけに、センセーショナルな色物と思われがちだが、読後心に残るのは、SMはこんなにも想像力を必要とする、哲学的で求道的なものなのかという驚きと、男たちが社会的生命や、時に命そのものまで賭して熱望するものがコレかいなっ?!という落差の可笑しみだ。密度濃い文章で舞台となる業界やその空気を描く手法は、小説世界に現実味を持たせるのに大きく貢献している

2015/12/27

ワニニ

“じゃない方”羽田圭介、すごい。ちょっとした知識で漠然と思っていたSMの世界とは、次元が違うディープさには驚いたが、別に性的嗜好やエロいことばっかり書こうとしたんじゃないことは分かるから、その辺も淡々と読めた。証券マンとかアナウンサーとか、ある意味自分を殺してきちんとしっかりこなさなければならない職業の主人公が、自分の個性を思いっきり体現するSMを通して、「生」の真理を追求していく。生真面目にいちいち自分の考えや行動を細かく分析しながら、生きる喜びと意味を見出す様子が、感心するやら笑えるやら抜群に面白い。

2015/11/26

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