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深爪 (新潮文庫 な 41-2)

深爪 (新潮文庫 な 41-2)

深爪 (新潮文庫 な 41-2)

作家
中山可穂
出版社
新潮社
発売日
2003-05-01
ISBN
9784101205328
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深爪 (新潮文庫 な 41-2) / 感想・レビュー

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おしゃべりメガネ

初読みの中山可穂さん作品です。大体予想(期待)どおりの雰囲気で江國さんや唯川さんに通じるモノを感じました。レズビアンの話で、ビアンの主婦、その旦那、ビアンの元恋人(もちろんレズ)のそれぞれ3人の視点から綴られる連作集です。普通に考えると決してノーマルとは言い難い世界観をさりげなくサラリとあたかも普通に書いてしまう中山さんの文章にはすっかりココロを惹き付けられました。アブノーマルな世界をいともたやすく何もなかったかのようにノーマルに綴る筆力に敬服します。結局、誰がマトモに見えたかって、個人的には元恋人かな。

2017/03/07

なる

新年の1作目。休暇中でないと読めないと覚悟を決めて読んだ中山可穂作品は予想通りだった。けれどそれは心を抉られるような痛みというより読むのに体力を費やしたという点において。翻訳家の女性と不倫相手の人妻とその夫という3人の登場人物を中心に描かれた、たった3編の短編集だというのになんと暗く長く感じられたことか。描写は鋭く美しく、それでいて遣る瀬なさが全編を覆い尽くす。清々しいまでのクズ。読む側の性別によって登場人物へかたむける感情は違うのだろうか。とにかく疲れてしまった。良い意味で。深く深くため息をつく。

2022/01/01

優希

激情的な恋愛小説というのに相応しいですね。主人公・吹雪を軸に、主婦キラーともいわれるなつめ、夫・マツキヨとの物語が紡がれていきます。吹雪となつめの激しい恋は体が溶けるほど求め合い、惹かれながらも傷つけあう涙が止まらないような関係でした。吹雪がビアン寄りのバイセクシャルであることを許して結婚したはずのマツキヨは、吹雪となつめが結ばれていくことで壊れていく家庭を再生しようとするのが切ないですよね。2つの絆がとても痛い作品でした。命がけの恋愛、壊れる絆、全てが愛しく燃えるからこそ惹きつけられますね。

2014/05/26

双海(ふたみ)

平凡な感想ですが、とにかく子どもが可哀そうでした。

2015/01/31

冬見

切った爪がおまえを恋しがる。「深爪」の章はまだ大丈夫、「落花」の章で雲行きが怪しくなり、「魔王」の章はしんどい。そうなんだよね、不倫ってそういうことなんだよね。でも「魔王」の章はとても引き込まれる。ボンヤリとしたばかな男だと思っていた彼の、父としての物語に胸が詰まる。なつめ、吹雪、マツキヨ、恭子のうち誰一人「そんなの愛じゃない」と言わないのがよかった。それぞれの愛のあり方がきちんと描かれていて、共感できるかはさておき物語に説得力がある。やはりまだ初読時と同じく内容的には苦手な部類だけど面白く読んだ。

2017/01/02

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