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博士の愛した数式 (新潮文庫)

博士の愛した数式 (新潮文庫)

博士の愛した数式 (新潮文庫)

作家
小川洋子
出版社
新潮社
発売日
2005-11-26
ISBN
9784101215235
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藤本さきこの本喰族!!「数学」という言葉から見つけた1冊『博士の愛した数式』小川洋子/連載第1回

 私にとって本は、食べて吸収し細胞にするもの。  食べることと同じくらいを作っていく。  食物が肉体のエネルギーを作るなら、書物は魂のエネルギーをつくる。  ひとつだけ違うことは、魂には「お腹いっぱい」という感覚がないこと。  お腹いっぱいにするために読むのではないのだ。  この連載「本喰族」では、読んだ本の中から頭に残っている「言葉」から次の本をリレー形式で検索し、魂がピンときた本をどんどん喰っていきたいと思います♡ 『博士の愛した数式』小川洋子

 初回は、最近一番気になっている言葉「数学」から見つけたこの本。  元数学の博士と、シングルマザーの若い家政婦の物語。  博士は事故の後遺症で80分ごとに 記憶が消去されて行く。蓄積された記憶は17年前でストップし、更新されない。毎朝「初 めまして」から博士の身の回りのお世話が始まる。どれだけ博士と親しくなり心を通わせ たような気がしても、次の日には「無かったこと」になってしまう。  毎朝「初めまして」で出会う博士は、数字で家政婦との繋がりを見出そうとする。家政婦も次第に数字の持つ意味や繋がりを見つけ、…

2019/4/21

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博士の愛した数式 (新潮文庫) / 感想・レビュー

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ヴェネツィア

実に感動的な作品だ。そこはかとない神秘性を湛えた冷たい抒情、というのが私のイメージする小川作品なのだが、ここでは何ともホットで、ハートウオーミングな物語が展開する。完全数を背番号に背負った江夏とタイガースがプロットの展開に絡む、そのスピード感もまた絶妙だ。その一方で、静かな諦観が込められたエンディングも素晴らしい。数学と小説という、およそ相入れそうもないファクターを見事に結合させ、結実させた稀有な成功例だろう。小説の新しい可能性の一端を拓いたと言ってもいいかも知れない。

2013/09/03

ヴェルナーの日記

一見すれば、障害を負った元数学博士と、彼を世話する家政婦に、その息子という3人の心の交流を描いた物語に見える、しかし、その先に博士と別宅に住む義理の姉という隠された繋がりを、そこはかとなく描いている奥行きのある作品に仕上がっている。まさに今という瞬間の現在を生きている博士と、それ取り巻く主人公の私、そして息子のルート。これに対し、過去を生きる健康だった頃の博士と義理の姉という対比が、とても計算されつくした物語の構成になっていて、読者の心を響かす一冊。仄かな苦味と甘酸っぱさを感じされてくれる作品だと思う。

2015/10/23

サム・ミイラ

読了までひと月かかった作品でした。読み終えるのが勿体なくて毎日少しづつ読んでいこうと決めたからです。私にとっては初めての読み方でした。母と息子そして記憶に障害を持つ博士の毎日を淡々と綴った本当に何でもない話。でも読むたび泣いてしまうほど穏やかで温かく優しさに満ちた作品で、私にとっては疲れた心に響く鎮静剤みたいな本。著者の人間に対する慈しみと阪神タイガースへの愛情が随所に溢れる名著。この小説だけはいつも手元に置いています。ちなみに著者は江夏と亀山が好きでたまらないようです(笑)

2014/09/06

HIRO1970

⭐️⭐️⭐️小川さんはお初で題名に惹かれて手に取りました。最近ワインと中華料理のちょっとしたマリアージュを堪能する機会がありましたが、本作での婚姻は数段上のレベルでタイガース時代の江夏豊と高等数式のマリアージュというまさに想像を軽く超越したものでした。このユーモアのセンスは間違いなく関西圏の血が底流に流れている底堅さを匂わせてはいますが、全体としては女性らしい淡く繊細なタッチで博士が発する緊張感が常に途切れずに続いていく何とも不思議な作品でした。80分しか持たない記憶でも数式なら解けるし、幸せも掴める?

2016/01/27

ehirano1

うぅ~~~ん、確かに美しい。だがしかし、だがしかしですよ、博士がいくら記憶が80分しかもたないとはいえ、ポストイットを体中(もちろん肌ではなく服に)に貼るシーンが、もはや人間としての尊厳を完全に無視しているように扱われている感じが強く印象に残ってしまい私には大変ショックでした。

2023/03/10

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