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夜のピクニック (新潮文庫)

夜のピクニック (新潮文庫)

夜のピクニック (新潮文庫)

作家
恩田陸
出版社
新潮社
発売日
2006-09-07
ISBN
9784101234175
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「夜のピクニック (新潮文庫)」のおすすめレビュー

恩田陸の不朽の名作『夜のピクニック』!「みんなで夜歩く。ただそれだけのことが、どうしてこんなに特別なんだろう」

『夜のピクニック』(恩田陸/新潮社)

『夜のピクニック』(恩田陸/新潮社)は、10年以上前に出版され、今もなお多くの読者の心を揺さぶり続けている不朽の青春小説だ。

 とある街の進学校には、「歩行祭」という変わった行事がある。

 朝の8時から翌朝8時まで、途中休憩や仮眠をはさみつつも、高校生たちが長距離を歩き続けるという体力も精神力も必要とされる「ただ歩く」だけのイベントだ。しかし、高校生最後の行事でもある「歩行祭」は、卒業をひかえた高校3年生にとって、特別なものだった。

 学年ごとに歩く団体歩行を終え、後半の自由歩行では、それぞれが「一番の友達」とゴールを目指す。長距離を、しかも夜を徹して歩くという「非日常感」。そして極度の「疲労」が、いつもと違う「青春」を登場人物たちに与える。

 貴子(たかこ)は、この歩行祭で、とある小さな賭けをしていた。

 それは今年から同じクラスになった西脇融(にしわき・とおる)に関すること。

 貴子と融は、お互いの意思に反して「意識せざるを得ない複雑な関係」にあった。

 青春小説というと、「爽やか」「甘酸っぱい」という印象を持つかもし…

2018/4/30

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夜のピクニック (新潮文庫) / 感想・レビュー

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ヴェネツィア

毎年、秋に行われる「歩行祭」。朝8時に出発して翌朝の8時まで歩き通す、慣例行事。物語はその1日だけを描く。プロットの核になるのは、物語の語り手でもある融と貴子が共に抱える葛藤とその解決だ。まだ何者でもない高校生であることから訣別しようとする時のこの想いは、読者の郷愁を誘うだろう。たとえ、その先の現実が平板なものであったとしても。また、時間と空間の集約性と、登場人物の性格造形の役割は、本編に演劇的な効果を与えている。いわゆる「キャラ立ち」が、くっきりと明瞭なのだが、それはまたこの小説の最大の欠点でもあった。

2013/05/19

パトラッシュ

殺人も戦争も恋愛も描かれず、憎悪も恐怖も性愛も出てこない。徹夜で80㌔を歩き通す高校の奇祭を描くだけで、今ここだけにある青春の姿が鮮烈に浮かび上がるとは。主人公の融と貴子をはじめ登場人物は全員が内心に秘密や屈託を抱えながら、ひたすら歩き続ける中でそんなのが馬鹿らしくなっていく。同じ道を歩いて語り合い昔を思い出し意外なことを知って、運動会や体育祭などよりも友情や仲間意識を育んでいく。多くのキャラが様々な経験や記憶を話していく中で、読者は「あの時の自分はこうだった」と思えるものに出会って若き日々を重ねるのだ。

2021/09/15

あきら

こんなイベントがあったら楽しかっただろうなー。歩きながらでないと話せないことや、歩きながらだと話しやすいことって結構ある。 恩田さんは「蜜蜂と遠雷」もそうでしたが、有限の設定での物語を描くのが本当に上手いと思います。

2021/12/15

ehirano1

読んでる最中何度も高校時代がフラッシュバックしてました。 本書は青春小説ですが、こういう本こそ我々大人に”忘れていた何か”を思い出させてくれるのではないでしょうか。良書そしてお薦めです。

2016/06/04

mura_海竜

恩田陸さん初読み。この様な作品は元気が出て良い。前に前に進む。物語はひたすら歩く毎年恒例の「北高鍛錬歩行祭」。作家さんは皆、自分が表せないことをいとも簡単に表現してしまう。自分が小さい子供のよう。恩田さんには特にそのことを実感させられた。私自身、仕事が忙しく、毎日遅くて疲れている。物語を読んでいると生徒が「疲れた」と言う度に「若いんだから」と思うことで、いつの間にか疲れも少なくなっている。消極的になった時や疲れた時に読むと、元気になれる。最後の所、運命の二人だけの会話は、終始、温かい雰囲気に包まれていた。

2013/05/16

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