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こころの最終講義 (新潮文庫)

こころの最終講義 (新潮文庫)

こころの最終講義 (新潮文庫)

作家
河合隼雄
出版社
新潮社
発売日
2013-05-27
ISBN
9784101252322
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こころの最終講義 (新潮文庫) / 感想・レビュー

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ケイ

河合さんが行った講義。話しかける相手をよく考えている。彼が取り組まれていた方たちは、いわゆる虐待などではなく、普通にみえる家庭で育ち、その中で不登校や自殺願望で悩む人が多かったのだろうか。普通に育てたつもりが苦悩する我が子に、心で寄り添ってただ見守るだけだと。これは思春期の子供にはある程度共通なものかもしれない。そして思春期の子供たちに自分の魂について問うて見ろと言い、不特定多数との肉体関係は身体だけのものではない、それだけの接触を沢山の他人と持つわけだから魂が影響を受けないはずがないととく。

2015/01/28

Gotoran

河合先生の6つの講義・講演を収録した貴重な一冊。ユング心理学の基本概念の一つ、「コンステレーション(布置):無関係に並んでいるようにしか見えないものが、ある時全体の関係が見えること」についての論考、さらには様々な神話や物語(隠れキリシタン神話、日本霊異記、とりかへばや物語他)を読み解き、東洋と西洋、性やアイデンティティの問題が深層心理学的に考察される。実に示唆深い。講演録ゆえ話し言葉で読み易い。生身の人間が精神的に豊かに生きる意味を進化させつつ、ユーモア溢れる語り(河合節)に良い意味で翻弄させられた。

2014/09/07

ネギっ子gen

講演録だが、「はじめに」で子息の俊雄氏が記すように、<講演とは聴衆とのその場での関係でなされるものなので、その筆録を書物にして出すことを著者は嫌って>いたとのこと。著者「あとがき」でも、<どうしても「型」に嵌ってきて、その結果、同じような話を異なる場所で繰り返すことになってしまう。そして、心理療法家としては最も恐ろしい、型に嵌った試行しかできなくなる危険性を、それは十分にもっている」と書く。その姿勢に好感を持ちつつ、先生の講演を聴いて感激した者として、このような形で講演録を出版していただき、有難く思う。⇒

2019/12/18

うりぼう

久しぶりの河合節、いいな。結局、生の講演会は1度しか聞けなかった。講演録でも雰囲気は充分。人間は因果的に物事を考えることが大事。それは、自分の人生をコントロールしていると思えること。そのために脳は虚構をも作り出す。でも、過ぎたるは及ばざるが如し、塩梅が難しい。人は、抱えきれない重荷を背負っていると思い込み、新たな課題を与えられると、自分以外のところで解決したがる。それは、自分と向き合わないことであり、コンステレーション、物語のピースが埋まらない。さらに深い物語へ沈んでゆく。そう、人は自ら課題を求めている。

2013/08/01

らい

相変わらずの輝く狂気。「あんたは魂が腐っとるんです」のエピソードがめっちゃ好きだった。「魂を掃除しなあかんってことはもうそら大変なことが起こると覚悟してます」常識的な範疇におさまらない日々だからこその経験だが、聴けば聴くほどおかしなコミュニケーションしてる。何冊目かなので聴き慣れた話も多いが、コンステレーションとその影響からの共時性が今回より理解が深まった。理屈じゃなくてその人にとって問題がどういう位置をしめ、魂に絡んでいるか。優しく解していく著者が目に浮かぶようだった。一度でも講演聴いてみたかったなあ

2020/07/14

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