十九、二十(はたち) (新潮文庫)
十九、二十(はたち) (新潮文庫) / 感想・レビュー
背番号10
1993年1月6日読了。作者は原田マハのお兄さん。あらすじは忘却の彼方。
1993/01/06
islet☮
「小説は昔からどこか病的」。何とも言えん感傷とエロ。泣き出す前みたいなキナ臭さと、途方に暮れるほどの自由が包み込む。永遠に道草を食うことを許された子供みたいな十代最後の夏。最近なら、原田宗典は「楽園のカンヴァス」原田マハの兄と言えば「へぇ〜」ってなる人多そう。けど、「十九、二十」の原田宗典の妹、原田マハやねんでって「マジ?」ってなる方よ。←「おぉ!」って、はしゃぐ!(笑)レールから、ちょっとズレてるとこが、いいねん。クリープハイプ「二十九、三十」からの「十九、二十」。前に進め。
2015/06/15
ちぇけら
誕生が夜明けならば十九歳の終わりは夕焼けだ。巨大な夕陽に照らされた景観はあまりに圧倒的で、いつもは騒がしい街も、木々も、人々も、茜色に染まる。ぼくは固く握っていた拳を思わずほどいてしまう。輝かしく生きることへの諦めと、夢を持つことへの虚脱感が入り混じる。「本当に欲しいものはな、欲しいと思ったその瞬間に捉えないと、すぐどこかへ行っちまうんだよ」なにもかも、夕闇が溶かしてしまった。二十歳。胸が苦しくて、血も涙も流れない。汗だけがいつまでも流れ、ぼくは足の裏にかすかに感じたんだ。新しく輝きだす、明るい陽の光を。
2020/06/30
ATS
★★★感動もない、喜びもない。この読後に訪れる虚無感に近い感情はなんだろう、不条理や不平等とも違う。どこまでいっても希望や夢なんてない。なんとも哀しく、切ない青春物語だった。『本当に欲しいものはな、欲しいと思ったその瞬間に捉えないと、すぐにどこかへ行っちまうんだよ』(P162)
2016/09/07
かうま
じっとりとした暑さが伝わってくる作品。実家は経済的に崩壊、薄給のバイト先は消滅、彼女にフラれ性病を伝染されと散々な主人公山崎。本人は不自然に声を高くし媚びを売りおどおどしてしまう自分が嫌いでしょうがないようだけど、周りの人からはクールでどんと構えてる奴と見られてそうな印象。
2019/01/03
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