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パレード (新潮文庫)

パレード (新潮文庫)

パレード (新潮文庫)

作家
川上弘美
吉富 貴子
出版社
新潮社
発売日
2007-09-28
ISBN
9784101292366
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パレード (新潮文庫) / 感想・レビュー

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ヴェネツィア

『センセイの鞄』番外編。初夏のある日のエピソード。あっという間に読めてしまうのだけれど、とっても贅沢な本。吉富貴子の抽象的な表紙や挿絵もなかなかいい感じだ。センセイとツキコさんが、そうめんを用意して食べるリアルなシーンと、物語の中核をなす幻想的なツキコさんの「昔の話」との間に段差がなく、それらの総体として作品を成立させているところは、まさに川上弘美の小説世界だ。また、表題となっている「パレード」の作中でのイメージは、とっても鮮やかで美しい。

2012/10/04

しんごろ

『センセイの鞄』の番外編であり大人の絵本!センセイとツキコさんの、ほのぼのとした日常が垣間見られた気がします。ツキコさんの子供の頃の話が、なんとも不思議な世界で幻想的で素敵でもあり、痛々しくもありましたね。センセイとツキコさんの距離感がとても心地が良くて癒やしを与えてくれました。

2019/10/08

ちなぽむ and ぽむの助 @ 休止中

センセイの鞄のセンセイとツキコさんのお話。鶴見俊輔氏の解説が素晴らし過ぎるので抜粋。「こどものころは、自分があらわれてくるのに手一杯で、となりのこどものことがよく見えない。でも、となりのこどものことが、こども特有の形で見えてもいる。それがあるとき、薄れてゆく。これは、その話である。」 「昔の話をしてください」とセンセイにせがまれ話すツキコさんの子どもの頃のお話。こどものころは不思議なものがもっと鮮やかに当然に手に取れていたのに、きっと多くのものを失っていて、そしてそれに気づいてすらいないんだろうな。

2018/10/30

hiace9000

センセイの手の温もりを通して浮かび上がってきた"昔の話"。子どもの頃の、まるで喉の奥に刺さっていつまでも残る魚の骨のような痛みを、昼寝後のまどろみの中で思い出して喋っているーただそれだけの徒然なる日常のひとこま、それが実に心地よい。たったそれだけで本編で描かれたセンセイと私の関係性が、柔らかく伝わってくるよう。悲しくてきれいなパレードの光は、周囲に同調しハバにしたゆうこちゃんへのわたしの罪悪感の裏にあるゆうこちゃんの強さに対する憧憬。儚い光は本短編読後も淡く光り続ける残り香のよう。実は本編未読。読まねば😁

2023/07/08

ゴンゾウ@新潮部

ツキコさんとセンセイの優しい時間がゆっくりと流れている。在りし日のセンセイと過ごした夏の時間。ツキコさんの子供の頃の思い出話しが語られる。天狗が出てくる不思議な世界。川上さんの独自の世界が広がっている。こんな穏やかな時間が過ごせたらとしみじみ思ってしまう。

2016/07/09

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