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イニュニック 生命―アラスカの原野を旅する (新潮文庫)

イニュニック 生命―アラスカの原野を旅する (新潮文庫)

イニュニック 生命―アラスカの原野を旅する (新潮文庫)

作家
星野道夫
出版社
新潮社
発売日
1998-06-30
ISBN
9784101295213
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イニュニック 生命―アラスカの原野を旅する (新潮文庫) / 感想・レビュー

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ヴェネツィア

星野道夫の見たアラスカの光景を目の当たりにしたとすれば、世界観があるいは根底から変わるかも知れない、という気がする。人工物が何もない原野を行くカリブーの群れ。マッキンリー山麓の湖畔に佇む1頭のムース。静寂につつまれた森の中で見上げる北極星。それらはまさに「覆いかぶさるような宇宙の沈黙」を私たちに伝えるのだろうか。アラスカは、広大な宇宙の中に浮かぶ地球を、そしてそこに生息する生命といったものを、もっとも身近に感じることができる空間であるのかも知れない。星野道夫の静謐で抒情に満ちた文体が私たちを彼方に誘う。

2016/10/31

SJW

星野さんが1990年にアラスカに家を建ててから、1993年秋までのアラスカを旅する話が掲載されている。建てられた家を直接見たわけではないが、家についての記述を読むと何か親近感が沸いた。星野さんとではないが、司祭家族と遊びに行った星野家の清里のロッジの雰囲気を感じた。そのロッジで星野さんが小さい頃から自然に親しんで、その雰囲気のロッジをアラスカに建てたのではないかと思う。その後に綴られているアラスカの大自然での旅には憧れを感じるが、自分ではとても生きて戻れそうもない厳しい旅なので、本で読んで思いを(続く)

2018/07/29

新地学@児童書病発動中

美しい写真と詩的な言葉が一つになって心に沁みる一冊。本書は、著者がアラスカで暮らした時の記録を中心に書かれている。はっと息を飲むような写真が多く収録されていて、この本を読み終わった後も繰り返し眺めた。一番印象に残ったのは、アラスカで様々な人と交流していく点だった。写真家なので一人で行動するのが多いのかと思ったら、星野さんはいろいろな人とのつながりを大切にしている。そこからまた新しい視野が開けることもある。広大な自然の中に身を置いていると、人との絆が貴重なものになるのかもしれない。

2018/06/16

アン

アラスカの森に家を建ててから数年の出来事を思索と共に綴られたもの。星野さんの言葉には私達の心を癒す美しさがあり、大自然に身を投じ、体験に支えられているからこそ、心に響いてくるのでしょう。現地の人々の強靭な精神力、物質的な世界を離れ自由に豊かに生きる姿、未来を示唆する声。壮大な自然の中で息づく生命の輝きと脆さを通し、生きることの尊さを伝えてくれている気がします。過ぎ去った時代に耳を澄ませ、生命のリズムを感じ取り、綿々と繋がる地球の歴史に想いを馳せる星野さんの奥深い眼差しには、静かな祈りが宿っているよう。

2020/06/27

はたっぴ

何度目かの再読。寒い冬にもっともっと寒い地域の人々に思いを馳せた。ここで出会ったアラスカのパイオニア達はいつも大切なことを思い出させてくれる。生死を分けるような過酷な冬を何度も乗り越えてきた人間は、少しずつ魂のレベルが上がるのかもしれない。星野さんが交流してきたアラスカの友、一人一人の言葉の重みを感じながら身も心も浸りきる。瑣末な出来事に追われていると、つい気持ちがギスギスしてしまうが、そんな時にアラスカのオーロラや未踏の地を想像するだけで霧が晴れたように視界が広がるから不思議だ。清涼剤のような一冊。

2018/02/15

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