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ノーザンライツ (新潮文庫)

ノーザンライツ (新潮文庫)

ノーザンライツ (新潮文庫)

作家
星野道夫
出版社
新潮社
発売日
2000-02-29
ISBN
9784101295220
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ノーザンライツ (新潮文庫) / 感想・レビュー

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ヴェネツィア

タイトルの"ノーザンライツ"はオーロラのアラスカでの呼称。星野道夫の遺作にはまことに相応しい。アラスカに魅せられ、彼の地で生涯を終えた星野の残した著作や写真は数多くあるが、これまでは大自然と対峙する自分や野生動物といったスタンスをとってきたと思う。本書で語られるは徹底して"人”である。そして、大きな転換点を迎えたアラスカだ。最初は"核"が持ち込まれようとし、次いでは油田の開発である。篇中では、ジニーとシリアの二人の女性によるアラスカ航空史、「幻のアラスカ核実験場計画」が内容も筆致も群を抜く。

2019/12/19

SJW

星野さんの作品4作品目。SINRAに1995年1月から1996年9月(未完)に掲載された彼に関わったアラスカの人々の話。写真よりも文章の方が多く、今までの作品とは趣が違う。こんなにたくさんの文章を著述されてたとは知らなかった。彼の思いは、古いアラスカを思いノスタルジーに浸るのではなく、アラスカを守ろうとした人達の過去の活動に敬意を払いながら、現在、良くしようと働いている人を讃えている。写真家というより、アラスカ文化のよき理解者かつ伝道師に変わっていったように思う。以前偶然にも、日本では珍しいアラスカ出身の

2017/11/06

アイシャ

よかった、面白かった。星野さんの本を読むと自分の日常を違う角度から見るきっかけをもらう。爽やかさとともに、なんだか泣きたくなるような気持にもなる。本作の主人公たちは星野さんの親しいアラスカの人々。女性パイロットのお二人や、インディアンの人々やアラスカを開発という名の破壊から守ってきた人々。彼らの真摯で純粋な生き方と自分を照らし合わせて自分に行き方を問いかけてみたり。美しいアラスカの風景の描写とともに、そこで生きる人たちの心を感じることが出来る。新年の一冊目にふさわしいな~。

2020/01/01

おさむ

「混沌とした時代のなかで人間が抱える様々な問題を突き詰めていくと、私たちはある無力感におそわれる。正しい一つの答えが見つからないから。が、こうも思う。正しい答えなど初めから存在しないのだと。そう考えると少しホッとする」亡き星野さんの著作をぼつぼつ読んでいる。彼が終生愛したアラスカの悠久な自然。核実験や油田開発等の危機に晒されても、現地の人々が命がけで守った歴史をかけがえのない友人の言葉を基に優しい筆致で語っている。それから20年。いまのアラスカの自然がどうなっているのか、ちょっぴり気になります。

2016/09/27

森の三時

アラスカに呼ばれる人とアラスカとは縁のない人に分けられるとすれば、本書はアラスカに呼ばれた人たちの物語であり、エアコンの効いた部屋で星野さんを読む私はおそらく後者である。けれど私は、星野さんが出会い見聞きしたアラスカの話が大好きなのだ。手付かずの自然と思いがちだがアラスカにも文明の波が押し寄せ変容している。自然保護区が設けられたということは素晴らしいことである一方、保護区以外の土地は人間の手によりいかようにもなることに他ならない。未来に責任がある。星野さんの写真展を観に行く前に読んでおきたかった。

2022/07/17

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