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抱く女 (新潮文庫)

抱く女 (新潮文庫)

抱く女 (新潮文庫)

作家
桐野夏生
出版社
新潮社
発売日
2018-08-29
ISBN
9784101306384
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抱く女 (新潮文庫) / 感想・レビュー

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ケンイチミズバ

ある意味、幕末に詳しいよりもこの時代を知ることの方が今を生きる若者に一つの指標みたいものを提示してくれるはずだと私は思う。学生運動の内ゲバで重症を負った兄がいつ死んでもおかしくない状況で、ふらふらした毎日からようやく巡り会えた心から好き、抱かれたいと思う人のことで心が揺れる。独り立ちするというのはそういうことでもある。決して家族や親からの恩を捨てるわけではない。大人の女への成長の過程だと思う。男が女を下に見る風潮は今も大して変わらない。70年代に青春を生きた女性たちのバイタリティと懐かしさが感じられた。

2018/10/05

オリックスバファローズ

舞台は:一九七二年の東京。私が生まれる一年前に二十歳の青春映画を生きる女性の直子の物語。好きな服やアクセサリーで着飾って、男と沢山寝れば「公衆便所(古い時代の古い考え方のひとつ)」。誰からも抱かれなければ「抱いてもらえない」女。作品の時代から五十年近くも経っているのに、令和の女性たちも「抱く女」ではなく「抱かれる女」のままで、自分の身体の価値を決める鍵を、自分ではない人に手渡してしまっている。正に時が流れて令和に変化しているつもりで、私たちは何か一番恐ろしい部分が変わっていないのではないだろうか。

2019/05/31

はるを

🌟🌟🌟🌟⭐︎。72年の吉祥寺を舞台にした青春群像劇。48年も昔の事だけれど若者達が抱えている混沌は今とそんなに違わないと思う。何かを拗らせ、何かにかぶれて、何かを気取っていた。どこにも行けず何者にもなれず、そのクセ他人に対しては手厳しい。でも20歳前後の時は皆んなこういう部分があると思う。読み終えても不快な気持ちしか残らないのだけれど、俺はこの不器用なヤツらが嫌いではないしこの物語も読んで良かったと思う。前半と後半で物語の雰囲気が変わったのが意外。夏生姐さん、男前だぜっ‼️

2021/04/05

佐島楓

舞台は70年代だが、ひとの在り様は大きく変わっていないように感じる。大学をサボり男を渡り歩く直子のような女性もいまだ存在するだろうし、男女差別の問題もさほど修復されたようには思えない。唯一無いのは内ゲバくらいだろうが、理不尽な暴力事件に巻き込まれないという保証は現在でもないのだ。普遍の痛みを抱えながら、女性は今日も生きる。

2018/08/31

hushi亜子

苦しかったなぁ。女だから余計に思うんだろうか。彼女、直子のモヤモヤしている気持ちが痛いほど伝わってくる。時代としては自分の母親の時代だ。こんな時代に20代を送ってきたのだな。 大学生の20歳の直子の女としてのモヤモヤ感、このまま家族を捨てて好きな男に向かってもいいものなのか、それも上手くいかないんじゃないか。全てわかる。

2018/10/28

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