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錦繍(きんしゅう) (新潮文庫)

錦繍(きんしゅう) (新潮文庫)

錦繍(きんしゅう) (新潮文庫)

作家
宮本輝
出版社
新潮社
発売日
1985-05-28
ISBN
9784101307022
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錦繍(きんしゅう) (新潮文庫) / 感想・レビュー

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zero1

事件をきっかけに別れた夫婦が再会し、往復書簡で語り合う。メールが当たり前の時代だから、この作品の意味がある。 別々の人生を歩む二人に不幸が襲いかかる。それでもどこかに救いがあり、読者のカタルシスにつながる。私が【救い】として最も気に入ったのが令子。地味だが彼女こそ女神。どんなことがあろうと人生は不幸だけで終わらない。また人の善なる部分を信じている作者は強い。宮本は、芥川賞の選考委員として作品の長さに拘りを見せている。私は「螢川」が一番好きだが、短くても過不足ない表現というのは今の作家も見習ってほしい。

2018/10/17

遥かなる想い

最初読んだ時は、その好さがよくわからなかった。少し歳をとって読み返して、その壮絶な恋愛に感動した。手紙が織り成す想いはとても 重い。

2010/05/01

bunmei

『錦繍』とは、美しい織物、文章の意味。文字通り本作品は美しい言葉で綴られ、お互いを気遣う書簡のやりとりで、物語は展開します。現代のメールやLINEでは決して味わえない日本語の美しさや日本人の奥ゆかさも感じられる作品。ある事件を機に離婚し、10年振りに再会した元夫婦。2人ともそれぞれの人生を歩み始めた中、あの時何故もっと引き留められなかったのかという自責の念と共に再び燃え上がる情念。切々と語られる互いを思いやる気持ちと口にはできない愛おしさが伝わる大人の恋愛小説です。モーツァルトの調べと共にお読みください。

2017/08/03

こーた

小説は書いても誰にも読まれないかもしれないが、手紙にはかならず読み手がいる。ほかの誰にでもない、あなたへ宛てて書かれた手紙。その手紙を読みながら、文章には描かれない読み手にまで想いを馳せる。読み手とわたしの心情が、手紙を通して重なり合う。想いはやがて書き手に転じて、ふたりのあいだを行ったり来たりする。手紙のなかで過去が語られ、それを読む現在があって、つぎの手紙という未来を待つ。その外側にある空間を、手紙の往復する時間的隔たりとともに、書かずに描く。手紙の繋ぐ世界にいつの間にやら入りこんでいる。

2019/10/09

本当に本当にいい本だと思います。不幸な不倫からの事件、それに至るまでのこと、その後の辛い人生、そこからの再生。十数年ぶりに読んだけれど感動した。

2016/03/15

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