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(やまいだれ)の歌 (新潮文庫)

(やまいだれ)の歌 (新潮文庫)

(やまいだれ)の歌 (新潮文庫)

作家
西村賢太
出版社
新潮社
発売日
2022-05-30
ISBN
9784101312880
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ジャンル

(やまいだれ)の歌 (新潮文庫) / 感想・レビュー

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こうすけ

北町貫多の長編もの。珍しい。師匠・藤澤清造ではなく、田中英光との出会いが描かれる。しかし、好きな作家に出会った感動の裏側で、職場の女性事務員に惚れ込み、これでもかと醜態をさらすいつもの貫多が見られる。こうすればモテる、という狙いの見当違いっぷりが面白い。ローンウルフってなに。横浜でも暴れ、撃沈する貫多。

2022/07/31

澤水月

少年期から横溝正史、大藪春彦、西村寿行など愛好していたと貫多の小説出自明かされ、それら大衆向けミステリやバイオレンス小説への敬意がいつもの貫多構文に混じり爆笑。極めてハニー、根が眠れるジゴロ、根が眠れるスケコマシ、狐狼と綿羊…。青春の甘さと苦さに真っ向から取り組む中で「私小説」を田中英光で知り天啓受け古本の世界にも足踏み入れる経緯が自然に織り込まれ感動。難しい漢字使わず、カタカナの笑い所満載、非常に読みやすい。西村賢太没後1年の祥月命日に。もっと読みたかった…。解説が映画苦役列車を著者に酷評された山下監督

2023/02/05

ミサ

性犯罪者の息子で中卒。甘ちゃんで僻み根性が抜けずにどこで働いても投げ出してしまう19歳の貫多。オチが分かってるのに毎回「いいぞ!貫多!その調子!」って応援してしまう。今回は造園会社に馴染んで機嫌よく働いてるのよ。好きな女の子もできるし。ハッピーエンドなわけがないのに期待してしまった!!

2022/08/03

Kano Ts

一気に西村賢太氏にはまってしまった。私小説であるから大体お決まりのパターンに行きついてしまうのだが、なぜだか全く飽きない。「サザエさん」がたとえとして適切化は怪しいが、少しネタ・時系列が違うだけの話が親しみと新鮮さをもって読めてしまう。あとがきで本人が言う通り、これまで読んだ「苦役列車」などとは少し雰囲気が異なる。より文学を意識したというか、これまでの流れと勢いを文章力でねじ伏せるというよりは、より丁寧に様々な演出が光るように感じた。しかし根っこは同じ。どちらも面白い。

2023/05/14

のじ

この人の未読本も残り少ないと思うと寂しい気もします。おなじみの貫多が中学を出てだらしない生活をしていたのを、造園業のバイトを始めて心機一転、落ち着いた生活を送り始めるという時期の話。赤裸々に描かれた貫多の気持ちがよくわかって共感する部分もあるので、このままうまくいってくれ、と願う気持ちもあるけれど、どこかで大きく崩れる日が来るという予感が物語の底に流れているので、かなしくもおそろしい。これで貫多がこのまま順調に穏やかな暮らしを送っていたら小説が書かれることもなかったかもと思うと複雑な気持ち。

2023/04/25

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