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夜の木の下で (新潮文庫)

夜の木の下で (新潮文庫)

夜の木の下で (新潮文庫)

作家
湯本香樹実
出版社
新潮社
発売日
2017-10-28
ISBN
9784101315140
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夜の木の下で (新潮文庫) / 感想・レビュー

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SJW

過去の回想が多くを占め、何らかの形で死に関わってくる6つの短編集。読んでいると自分の子供の頃や若い頃の情景と亡くなった親族、友人を思い出させてくれる。解説にあるように、失ったと思いこんでいても、思い出すことによって、取り戻せることを実感した。

2018/10/19

yoshida

静謐で透明な世界観を持つ短編集。言葉に無駄がなく、水の中に沈み込むように物語に惹き込まれる。漂う死の影。白眉は標題作だろう。お互いを支え合う姉弟。引かれる手。その絆と記憶が、私達を過ぎ去った過去に誘う。私にも姉がおり二人で過ごした幼少の何気ない記憶がある。この作品は過去は過ぎ去り失われたものではなく、私達の心の中で帰れる場所だと教えてくれる。標題作のラストに心震える。そう連れ戻すのだ。その手を離さぬように。私も姉が亡くなれば、私の心の一部も欠落するだろう。それは他に埋めようのない事だ。繰返し読みたい作品。

2018/10/27

しいたけ

ただただ心を満たしていく透明感。この人の透明感は何なのだろうと感嘆して読み終わると、解説にも透明感の説明が。過去に遡りそっと撫でる大切な人。苦しかった日々に寄り添ってくれた守りたい人。胸に抱え濾過した想いが、深い森の香りを纏った水になり流れゆく。その一瞬に立ちあえるひっそりとした喜び。どの短編も、これがいちばんと思い読み終わる。それ故か、最後の表題作の姉弟にグッときた。私にも二人にしかわからない時を過ごした弟がいる。弟が死んだとき、私は本当の意味で一人ぼっちになるだろう。必ずどちらかが先に逝くのだけれど。

2017/11/21

はたっぴ

先日、甥っ子の宿題の手伝いで物語を作った。2人で原稿用紙を前に固まること小一時間。生みの苦しみを経験すると、このような作品を読むのがますます楽しみになり感動もひとしおだ。昨年読んだ『ポプラの秋』が脳裏に焼き付いていたのだが、今回の短編集も素晴らしかった。読みながら子供時代に戻り、いつも一緒にいた妹とセピア色の映像を見ているようだった。特に『マジック・フルート』の世界観は秀逸。異界のような不可思議な場所に引きずり込まれ、忘れかけていた懐かしい記憶の断片が蘇る。まるで自分の歴史をなぞるような読書だった。

2017/11/04

ふう

後ろを振り向かず歩き続けた若い時代。幼い日はまだ思い出にはならず、その幼い時代が自分を形作っているとも気づかずにいました。立ち止まる時間ができると、キラキラと輝いている思い出だけでなく、苦いことも恥ずかしいことも思い出します。無邪気だっただけでは言い表せないことも。やり直すことはできないけど、それを受けとめて、ここまで歩いてきた自分とそのときそばにいてくれた人を愛しみ抱きしめることはできるかもしれません。愛しみながら、また次の時間へと歩み始めるのでしょう。と、感想にならない感想。消化できていないせいですね

2018/01/16

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