KADOKAWA Group

Facebook Twitter LINE はてブ Instagram Pinterest

鎮守の森 (新潮文庫)

鎮守の森 (新潮文庫)

鎮守の森 (新潮文庫)

作家
宮脇昭
出版社
新潮社
発売日
2007-04-25
ISBN
9784101317519
amazonで購入する

鎮守の森 (新潮文庫) / 感想・レビュー

powerd by 読書メーター

翔亀

著者は4000万本の木を植えたとして著名な生態学者。その理論は明快で、土地が本来持つ「潜在自然植生」(人間が手を加えないで自然が到達する植生。極相林と同じ)の何種かの木を植えれば、下草刈などの手を加えないで森は自然と育つ、というもの。関東以南の「潜在自然植生」は常緑広葉樹林だからタブノキやカシを植林すればよい。しかし常緑広葉樹林は、二千年に渡り日本人が伐採し続けてしまったため、今0.6%しか残っていないという。唯一残ったのは、鎮守の森。確かに私の近所の高麗山や鷹取山に、神社があったから残ったのは事実だ。

2015/08/08

ショア

本棚に欲しい本。その土地の潜在的な自然植生を研究してきた著者、鎮守の森こそ命の基盤であり文化の母体、神や仏が宿り心が安らぐ魂の拠り所として今こそ必要。最もダイナミックに安定した社会。多様な生き物が互いに少しずつ我慢しあい共生。森は地域の多様性のシンボル。森の生き物は最も快適な環境ではなく少し厳しい条件下で嫌な奴とも我慢しながら共生。規格化・標準化された工業生産物は扱いやすいが死んでいる環境。 師であるチュクセン教授の教えが響く。我々は見えるものしか見ようとしない人間ではなく見えないものを見る努力をすべき。

2023/07/17

Saiid al-Halawi

ただ植えればいいというものではない。土地に適したもの、つまり潜在的自然植生(人間による干渉の一切を排除したと仮定した場合にその土地に想定される植生)に適合するものでなくてはならない。また、森という「システム」が構築され持続しうるには、水や養分、気候等が生育にとって最大になる最高条件よりも、他の樹種と互いにパイを分け合い、競合/並存しうるような最適条件でなくてはならない、ということ。

2011/06/09

とこまた

私の地元でも、かつて里山だったところは徐々に荒れている。一方、鎮守の森はさして手入れされずとも永続するという。森林再生の見本は鎮守の森にあり。神社に足を運んでドングリを拾おう。

2010/09/17

ice cream

空前の環境問題ブーム。建築もしきりに緑化が叫ばれている。しかし、この本を読めば、いかに屋上緑化や壁面緑化が表面だけのもので、本質を捉えてないかが分かる。植物にも植物の社会があり、上層、中層、低層、その他諸々色んなバランスで成り立っている。またその土地土地で適した植物も違う。そうしたことを全て考慮して緑化しなければ意味がない。建築に携わるうえでこれからはもっと植物のことを勉強する必要があると思う。その入門書として非常に良い本である。

2010/05/05

感想・レビューをもっと見る