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つめたいよるに (新潮文庫)

つめたいよるに (新潮文庫)

つめたいよるに (新潮文庫)

作家
江國香織
出版社
新潮社
発売日
1996-05-29
ISBN
9784101339139
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早見沙織さんが選んだ1冊は?「描き出される今を生きることの刹那が美しく、涙がこぼれてしまった」

 ※本記事は、雑誌『ダ・ヴィンチ』2023年7月号からの転載になります。

 毎月3人の旬な有名人ゲストがこだわりのある一冊を選んで紹介する、ダ・ヴィンチ本誌の巻頭人気連載『あの人と本の話』。今回登場してくれたのは、早見沙織さん。 (取材・文=立花もも 写真=干川 修)

 最初に読んだのは学生時代。それからどれほど時を経ても、読み返すたび早見さんを号泣させるのが、江國香織の短編集『つめたいよるに』。 「刺さる物語はそのつど違います。今回、改めて素敵だなと思ったのは『夏の少し前』。女子校の中学に入学したばかりの主人公が放課後の教室でぼんやりしていると、いつのまにか未来にタイムスリップしてしまうという不思議なお話ですが、人生って本当に一瞬の積み重ねで巡っていくのだなということが感じられるんです。あんなに楽しかった学生時代も気づけば遠く、好きな人と結婚して幸せを嚙みしめていたら、今度は子どもの、そして気づけば孫の手を引いている。新鮮な表現で描き出される、今を生きることの刹那が美しく、涙がこぼれてしまったんです」  たくさん本を読むタイプではないというが、何…

2023/6/15

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つめたいよるに (新潮文庫) / 感想・レビュー

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ヴェネツィア

「つめたいよるに」の9篇、「温かなお皿」の12篇と計21篇の掌編からなるが、デビュー作「桃子」を読める貴重な小品集。他のものも概ね初期に書かれたのではないかと思われる。さて、「桃子」だが、語りのスタイルと小説の構成は芥川の初期作品のそれを思わせるもの。また、漱石の『夢十夜』を想起させないでもない。前半のファンタジックな掌編もいいのだが、一見地味な後半のリアリズム小説も捨てがたい魅力がある。江國香織らしいと言えなくもないが、奔放さが制御されたなかなかの佳品揃いだ。前半では「デューク」、「夜の子どもたち」⇒

2019/07/25

zero1

死は永遠の別れではなく、一本前の電車に乗っただけ。そう考えれば乗り越えられる。卵料理とアイスが好きだった「デューク」はそのことを教えてくれる。大丈夫、彼は虹の橋で飼い主を待っている。「びょおびょお泣く」など表現も独特。本書はデビュー作「桃子」を含む21の短編が収録された一冊。「いつか、ずっと昔」はヘビ、豚、貝だった前世が描かれており川上弘美の作品世界に近いか。短編は作家の才能を見るには最適な、小さな宇宙だ。無駄を省き、鋭く表現しているところは読む価値あり。何度でも再読したい。

2018/11/29

三代目 びあだいまおう

江國香織さん作品にこれまで全く興味が湧きませんでした。先日読んだ別作家の作品で解説文を書いていた江國さんの文章、表現に『単に食わず嫌いかも』と思い、読友さまが本作を薦めて下さいました!各話10頁弱の超短編集。お薦めして下さった方の思いが伝わります。作者初心者にとって取っ掛かりやすく、読みやすく、作家の感性やセンスに一冊で幅広く触れられます!日常に潜む少しの不思議や小さな幸せを江國さんの感性で感じとり、言葉を選んで文章を紡ぐセンス❗短い文章でそんな様々を表現できるって凄い❗もう少し江國作品探そうかな‼️🙇

2019/09/03

ちなぽむ and ぽむの助 @ 休止中

愛しいから悲しくて、さびしいからいとしい。ひとりで立つ肌寒さを覚えているから幸せで、横のひとを慈しむ。「私、ずっとながいこと、こんな光景にあこがれていたような気がします」 こんな風に、愛せたらいい。こんな風に、生きれればいい。もの忘れがひどくても、また新しく恋をすればいい。死ぬときはひとりでも、幸せの記憶がこころを、からだを、あたためればいい。21種類の幸せと悲しみの欠片たちが、静かに心に寄り添ってくる。江國さんのお話の中で、いちばん好きかも。この人の話はいつも孤独の優しさと気高さを教えてくれる。

2019/01/10

hitomi.s

ほんっとに、短い短いお話が詰まってる本。「この本はこういう本」って、どう紹介したものか困っちゃう。あらすじって言っても21編もあるし。あ、でも。久しぶりに会う友人に手土産として渡したい本。何でもない日とか通勤の合間とか、すすすっと1編読んで、「ふぅー」って一呼吸入れて欲しい。そんな本。私にとっては、そんなふうな大事な本。

2018/06/20

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