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罪の轍 (新潮文庫 お 72-3)

罪の轍 (新潮文庫 お 72-3)

罪の轍 (新潮文庫 お 72-3)

作家
奥田英朗
出版社
新潮社
発売日
2022-11-28
ISBN
9784101344737
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罪の轍 (新潮文庫 お 72-3) / 感想・レビュー

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bunmei

戦後復興から高度経済成長期に入る昭和38年を舞台とした事件小説。自分の幼少期とも重なる、東京オリンピック、家電製品の普及等、活気に満ちた日本。しかしその裏で、戦後を引きずる陰の部分も暗躍する社会背景を元に描いた、800頁を超える大作ミステリー。礼文島で起きた小さな窃盗事件が、東京での殺人事件、そして幼い子供の誘拐事件へと繋がりをみせていく。あまりにもアナログな警察の捜査の様子が、時代を現しノスタルジーを誘う。孤独や生い立ちが、犯罪を生む要因となることに、やり場のない思いと共に、悲哀が残る作品となった。

2023/01/11

ふじさん

絶望的な孤独感を抱えた犯罪者と一刻も早い解決を目指す警察との熾烈な戦いが火花を散らす犯罪小説。何と言っても、犯罪者の宇野寛治の人生が切なく哀しい。東京オリンピックの前年の東京で、男児誘拐事件が発生し、日本中が震撼した。若手刑事の落合昌夫は、北国訛りの青年に目をつけるが、捜査は行き詰まり、警察は致命的な失態を演ずる。憔悴する被害者の父母、焦りを募らす警察、真実を語らぬ容疑者、読んでいてもいらいらが募る。なんとなく結末は見えるものの、真実は最後まで分からない。ミステリー小説としては傑作と言えるのではないか。

2023/04/30

ケンイチミズバ

新しい時代の息吹が聴こえる。反して、新しい考え方、新しいやり方、新しい人材に抵抗があり、変わろうとしない人たちが、旧態依然の考え方も当然ある。しかし、犯罪までもが通信や交通の発達で変化しつつあり対応を迫られる。古い体質の組織、その中で悪戦苦闘する人々のアナログな姿が克明に描かれていた。組織とは警察のこと。700ページを超えるあたりからの急展開に今日はどこでやめようか、読み終えるのがもったいない。そんな読書でした。オリンピック開催を控えた1960年代の再現がとてもリアルで驚きます。私は1961年生まれです。

2023/01/27

yoshida

吉展ちゃん誘拐事件を元に、罪を犯した背景を描いた作品。読み応えあり。北海道奥尻島の見習い漁師。馬鹿呼ばわりされる彼は脳機能に障害があった。盗癖があり、同僚に脅され唆され罪を重ね奥尻島から逃げる。盗みを重ねながら辿り着いた東京で更に罪を重ねる。彼の生立ちは悲惨だし、義父により脳障害を負ったことは同情する。しかし、盗癖や重ねた犯罪には許容は出来ず。両親が酷い人物でも罪の轍から離れることは出来なかったたのか。時代は東京オリンピック前夜。未だ誘拐事件への対応も未確立で警察は苦渋を嘗める。厚さが気にならない充実作。

2023/04/23

H!deking

ぐわー面白かった!!くー、奥田作品結構読んでる方だとは思うけど、今のとこ一番やられました。起から承までは早いんだけども転から結までが焦らされに焦らされますね。こういう書き方もあるのかー。なるほどなるほど。奥田さんはオリンピックの身代金もあったけどこの時代の上手いですね。いやー面白かった。これは好み分かれるかも知れませんがおすすめ!

2023/04/22

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